電子レンジ
「電子レンジでチンする」は、温めるということ。
オノマトペが動詞化して生活用語になったものたちは、この世界にどれだけあるのだろう。とりあえず、電子レンジはチンと鳴るものだと小さい頃からそう教わってきた。
いざ寮暮らしをしてみたり誰かのお家を訪ねたりするようになると、実は「チン」だけじゃなくて「ピー」だったり「タラリラー」だったりいろんな音があることを少しずつ知った。けれど、たいてい高音域であることが多いので、わたしの耳では聴き取れないことも多い。
じゃあ、お家でどうやって電子レンジを使っているのか。お家では補聴器を外していることも多いので、視界に入るところで待っていることが多い。温めが終わると庫内の電気が消えるのでそれを見て取り出す。それがもう当たり前になっているので、そんなに不便だとは思っていない。
でも、キコエル人が近くにいるときには頼ってしまうことも。電子レンジのチンっという音は、隣の部屋にいても聞こえるらしくチンっとなると【おわり】の手話をしてくれる。それを見て「サンキューー!」と電子レンジに向かう。
そういえばこの家の電子レンジの音をマジマジと聞いたことがなかったので、【おわり】の手話をしてくれたときに「この家の電子レンジは、チンって鳴るの?」と尋ねると「そうだねぇ。チンだねぇ」と言っていたので、このチンっは正解らしい。
他にも、洗濯機が終わったときの音、玄関のチャイムの音……わたしたちの生活にはたくさんの合図音がある。ピーピーっなのかな。ピンポンなのかな。
洗濯は大体の終わる時間を覚えていればいいし、玄関のチャイムはiPhoneに反応してもらったりモニターが付くのを見れば良い。だから、どうしてもこの音たちを知らなくては生きていけないかというとそうでもない。
でも、そういう知ってても知らなくても良いような音たちを「これどんな音するの?」と尋ねられる人たちにはとても心を開いているということ。そういう人が、この世界にひとりでもたくさんいるということが、わたしの世界を広げてくれているんだろうなと思うのです。
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