見出し画像

『お母さん、どうしちゃったの?』~キッチンドランカーになったわけ~

なっちゃんのお父さんとお母さんは、同い年で学生の頃からお付き合いしていた。
そして、二人とも同じ年に大学を卒業した。

お父さんは、成績優秀で上場企業の会社に入社。
お母さんは、大手の広告代理店に勤めたが2年後、結婚を機に寿退社した。

順風満帆な新婚生活。
お母さんは、とっても幸せな気分でお父さんに食事を作ってあげたり、
スポーツジムに行っては、身体を鍛えプロポーションを維持する。
洋服もハイブランドの仕立ての良いものを買い、
時々はお父さんと高級レストランで食事。
とっても幸せな日々を送っていた。

だけど、お父さんの帰りがいつも遅い。
お父さんの仕事は、忙しくて、忙しくて、忙しい…。
いつも忙しい。
お母さんは、病気にならないかと心配していた。

そんな時、なっちゃんがお母さんのお腹の中にいることが分かった。
お母さんは、お父さんとの間にできたなっちゃんが、とっても愛おしく、うれしかった。

やがてなっちゃんが生まれて、お母さんは一生懸命お世話をした。
だけど…お父さんの帰りは、いつも遅い…。
あまり、なっちゃんと触れ合う機会を持たなかった。

その日は、なっちゃんが泣き止まない夜だった。
お母さんは、抱っこしたり、あやしたり、ミルクを飲ませてあげたりしたけど、全然泣き止んでくれなかった。
そこへお父さんが帰ってきて、お母さんは助けを求めた。
だけど、「疲れているから」と言って別の部屋へ入って行ってしまった。
お母さんは、悲しくて、悲しくて、どうしていいか分からず、なっちゃんと2人で泣いた。

だんだん…お母さんも、なっちゃんに語りかけなくなっていった…。

少し月日が経って、なっちゃんは幼稚園に入園した。
真新しい制服に笑顔いっぱい。
お母さんもなっちゃんを見て微笑んだ。
だけど、お父さんはいない。来てくれなかった。

なっちゃんは、お母さんがいるから平気だった。
だけど、お母さんは平気じゃなかった。すごく寂しかった。

ある日曜日のこと。
なっちゃんとお買い物に出かけた先でお母さんは見てしまった。
お父さんが、ニコニコしながら女の人と歩いているところを!
その顔にお母さんは見覚えがあった。一つ後輩の元同僚だった…。

その日から、お母さんは変わってしまった……。


2021/12/28掲載『お母さん、どうしちゃったの?』につづく    


#nt9床井紀子800字ショートストーリー
#行動心理学
#エッセイ
#私の日常
#ショートストーリー
#ショートショート
#短編小説
#読切小説
#ライトノベル
#活字中毒
#虐待 、DV被害を受けた方への応援メッセージです。
#コピーライター
#コピーライティング
#絵本作家
#作詞家
#介護に生産性を求めないで
#認知症
#介護
#スキしてみて

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集