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cassetteboy
こころのサビとり 美しい世界
わたしの感覚は完全にサビついていた。
元々感じやすいタイプで生きづらく、鈍感になろうと、そのフリをしていた。
世界は磨りガラス越しになった。
「おいしい」も「たのしい」も、自分のことさえぼんやりした。
ロボットのように生きていたら、からだからアラートが鳴り、病気みたいなやつになった。
前の春、しあわせは手に入れるものではなく、感じるものだと教えてもらった。
感じる術を「どっかにやってしまった」わたしの側に、しあわせはいなかった。
サビ取りをはじめた。
何が楽しかったっけ。
ひとつひとつ、こころとからだに丁寧に問いかけた。
途中に痛みもあったけど、サビは少しずつ取れて、流れていった。
磨りガラスのくもりは随分と晴れて、世界がクリアに見えるようになった。
こんなに世界は美しかったのか。
子どもの頃の感覚が戻ってきて、今もサビは毎日取ってる。