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【読書感想文】ラブカは静かに弓を持つ
こんにちは🌸
新年度になりましたね。もうすぐ本屋大賞受賞作の発表ということで、ノミネート作品をいくつか読んでいます。今回は、その中から一つ『ラブカは静かに弓を持つ』安壇美緒/著 の読書感想メモです。
🎻🎻🎻
一つだけ、後悔していることがある。
しまった。
読み終えて真っ先に口をついて出たのは、
「ああ、音をそばに置くべきだった。」
すぐそばにスマートフォンがあるではないか。
まっすぐで、いい意味でまるで映画の台本を読ませていただいているような感覚がある鑑賞体感型の作品だった。画を頭の中で描くのに何か自分に足りないと感じながらもそのまま1時間で読み切ってしまった。
もはや日常に無意識に組み込まれている“検索”を、何故しなかったのだろう。
完全に今じゃないと思いながら、Spotifyアプリを起動しこの曲に触れた。
「おお…このような音色なんだ」
私はどうしようもない阿呆である。
🎻🎻🎻
既に映画化されたのではないかと錯覚しそうな程完成度の高い物語『ラブカは静かに弓を持つ』。
少し前に話題になった音楽教室における楽曲の著作権。それに関わる仕事に就いている主人公が、ある意味スパイ的な行動をするために音楽教室に通いチェロを演奏するストーリー。
音楽に馴染みの薄い素人の私でも綺麗な音色(今頃ちゃんと知った)に乗せて五線譜を泳ぐように読むことが出来る。しっかりと深海で味わい、地上に上がるとこれまでどれほど読むことに没頭していたかに気づくだろう。
本屋大賞ノミネート作品にふさわしい“本を読むことの楽しさに気付く体験”が出来る『ラブカは静かに弓を持つ』。機会があれば、ぜひあなたも音を添えて体感してみて欲しい。
作品の数だけある読書体験。
生きづらさを扱うものにはその物語の中に読者が入り込んだり、また自分にはない未知の世界のカケラを描いたものは鑑賞に近い体験をすることがあります。
『ラブカは静かに弓を持つ』は個人的には後者のタイプの作品に感じました。作者の3作目の作品ということもあってか、テーマや主人公の悩みの重さとはうらはらに、まっすぐな爽やかさを感じる物語でした。読んだ方は、主人公は映像化されたらあの俳優さんが合うかもと早速考えたくなる気持ちになることを共感していただけるはずです。
本屋大賞、さてどんな作品が受賞するのでしょうか。今年も発表が楽しみです。
お読みいただきありがとうございました。
桜
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