児童文学賞受賞作品を読んだら、描かれた何かをみつけた話
出会いは突然に
今週訪れた図書館で、玄関にある“新しく入った本コーナー”にある児童書『あたしは本をよまない』が目にとまった。おっとこれは読みたい。
一見してみると可愛らしい児童の学校での姿が描かれているのだけれど、大人が読めば視点が変わって深いお話だった。主人公のユイちゃんが誰かと関わっていくことで変化していくココロに共感し、じんわりと余韻が広がる。
お話のあとには作者に関する情報などが記載されていて、そこではじめてこの作品が『童話と絵本のグランプリ』グランプリ童話大賞受賞作だと知った。なるほどと くるっと巻かれた後ろの表紙をめくると過去の受賞作一覧があるではないか。そこでエンジンがかかったわたしは、図書館にある過去の受賞作品をまるで宝探しのように次々に発見し、借りてよいしょと抱えて帰宅した。↓
もともと勝手に「ちゅうでん児童文学賞」ファンというのもあって、新しい児童部文学賞の発見に興味津々で次々におかわりして読んでみた。
以前もお伝えした通り、児童文学はあなどれない。あえて小学生にわかるような言葉や表現という目に見えない縛りのなかで、作者が伝えたいことがぐっとそこに詰められる。賞にいたっては文字数制限もあるから、書き手の方をめちゃくちゃ尊敬する。で、今回みつけた『童話と絵本のグランプリ』。これがまた良かった。
ユーモアあふれる作品から、今回の受賞作『あたしは本をよまない』のような学校での出来事を扱ったものまで幅広い内容で物語に入り込み楽しませてもらった。読んでみてなにかこの賞受賞作の共通点はないかと考えたら、こんなことに気づいた。
『揺れ動く気持ち』が、描かれている。
そりゃ当たり前のことかもしれないけれど、結構大事なことなんじゃないか。この『揺れ動く気持ち』に、読んでいる読者も一緒にゆらゆらと揺れる。心配な気持ち、嬉しい気持ちに安心感。様々なココロの中身が作者の文章と添えられた絵で表現されている。しかもこれって何年経っても色褪せることはないもの。たしかにそこにあって、いつの年齢でここへ帰ってきてもまた新たにその年齢で感じることがあるというおまけまで付いている。
作者インタビュー記事を発見
さらになんと『あたしは本をよまない』の作者コウタリ リンさんのnoteインタビューを発見。そこには、いったいどうして主人公は本を読まないのだろうと気になったことへのアンサーがあった。
読んだら『えー!』という声が出た。
それとともに、とにかく恥ずかしかった。大人になったわたしが頭が硬すぎた。肩の力を抜いてもっと子どものココロでおおらかに読めばよかったのかもしれない。今、読めてよかった。noteに感謝。
(ネタバレになるので本を読んだ方はこちら→noteインタ)
そんなわけで、突然の出会いで更に児童文学が好きになった今週。
これからは『揺れ動く気持ち』に注目して読んでみたい。
よし、過去受賞作をまた借りに行こう。
お読みいただきありがとうございました。
桜