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本日の一曲 20世紀第3四半期の音楽

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連載「本日の一曲」のうち、1951年~1975年の音楽をまとめました。
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記事一覧

本日の一曲 vol.475 アーマッド・ジャマル・トリオ リカ・パルパ (Ahmad Jamal: Rica Pulpla, 1956)

アーマッド・ジャマル(1930年7月2日生~2023年4月16日没)さんは、アメリカ・ペンシルベニア・ピッツバーグ出身のピアニストです。古くはマイルス・デイヴィス(1926年5月26日生~1991年9月28日没)さんの友人としてお互いに影響を与えた仲であり、最近では、上原ひろみ(1979年3月26日生)さんのバークリー音楽院の指導教授としても知られています。 本日は、1956年にリリースされたアルバム「アーマッド・ジャマル・トリオ(The Ahmad Jamal Trio)

本日の一曲 vol.474 ビーチ・ボーイズ キャロライン・ノー (The Beach Boys: Caroline, No, 1966)

ビーチ・ボーイズの大名盤と言われるアルバム「ペット・サウンズ(Pet Sounds)」のラストを飾る「キャロライン・ノー」です。変わってしまった女の子への、おそらく思春期の男の子の絶望を歌った歌だと思います。 「ペット・サウンズ」は何しろ大名盤であり、いろいろな人が一家言を持っています。同時代のイギリスのバンドであるビートルズのアルバム「ラバー・ソウル(Rubber Soul, 1965)」を超える作品を作りたいということで、ビーチ・ボーイズのリーダーであるブライアン・ウィ

本日の一曲 vol.470 リンダ・ロンシュタット 悪いあなた (Linda Ronstadt: You're No Good, 1974)

アメリカのシンガーであるリンダ・ロンシュタット(Linda Ronstadt, 1946年7月15日生)さんは、自らを「カメレオン」である、声を大きく変えることができる、と話しています。 リンダさんのシンガーとしてのスタートは音楽が好きな一家に育ち、兄姉妹でのハーモニーから始まったことから言えることだと思います。リンダさんの生い立ちについては、2022年にリンダさんのドキュメンタリー映画「サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」が公開されました。 この映画のオープニングでは、リン

本日の一曲 vol.469 ティオムキン ローハイド (Dmitri Tiomkin: Rawhide, 1959)

ドミトリ・ティオムキンハリウッドの映画音楽の作曲家で指揮者であるディミトリ・ティオムキンさんは、1895年5月10日、ウクライナのクレメンチュークで生まれ、サンクトペテルブルク音楽院で教育を受け、1925年にアメリカに移住、1937年にアメリカ市民権を取得し、ハリウッドで活躍しました。 もちろん数々の映画音楽でも有名ですが、日本人にとっても馴染み深いのは、「ローレン、ローレン、ローレン」で始まる「ローハイド」だと思います。「ローハイド」は1959年から1965年にアメリカ

本日の一曲 vol.467 キング・クリムゾン アイランド (King Crimson: Islands, 1972 Pete Sinfield RIP)

「King Crimson」の名付け親であるピート・シンフィールドさんのご冥福をお祈りします。 キング・クリムゾンの4枚目のアルバム「アイランド(Islands)」からタイトル曲です。歌詞は動画の解説欄に載っています。 orokamenさんの和訳です。 ピートさんの唯一のソロ・アルバム「スティル(Still, 1973)」のプレイリストです。 その歌詞集。 出版されていた詩集「Under the Sky」です。 (by R)

本日の一曲 vol.466 ヤードバーズ 幻の10年 (Yardbirds: Happenings Ten Years Time Ago, 1966)

ヤードバーズは、ボーカルのキース・レルフ(Keith Relf)さんとドラムのジム・マッカーティ(Jim McCarty)さんが中心となり、1962年に結成されたバンドで、バンド名は、ジャズのサックス奏者チャーリー・バーカー(Charlie Parker)さんのニックネームだった「yardbird」が由来になっています。 そして、ヤードバーズは、何よりも、エリック・クラプトン(Eric Clapton)さん、ジェフ・ベック(Jeff Beck)さん、ジミー・ペイジ(Jimm

本日の一曲 vol.464 欧陽菲菲 雨の御堂筋 (1971)

はじめに欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)さんは、1949年9月10日に台湾・台北に生まれた歌手で、日本では21歳のときにシングル曲「雨の御堂筋」でデビューし、現在も「アジアの歌姫」として活躍中です。また、夫は元レーサーの式場壮吉さんでした。 式場さんは「キャンティ」の常連だったようです。 雨の御堂筋「雨の御堂筋」は、欧陽菲菲さんのデビュー曲ですが、当時大ヒットして、1971年大晦日の第13回日本レコード大賞で新人賞を受賞しました。当時、日本レコード大賞は紅白歌合戦とと

本日の一曲 vol.459 バッドフィンガー 嵐の恋 (Badfinger: No Matter What, 1970)

はじめに本日は、かつてビートルズのアップル・レコードが売り出した悲劇のバンド、バッドフィンガーをご紹介します。ビートルズのメンバーが曲を提供したり、レコーディングに参加したりと交流が深かったバンドです。 今年2024年、藤本国彦さん編集の本も出版されました。 アイヴィーズ(The Iveys)ピート・ハム(Pete Ham)さんは、1947年4月27日、ウェールズ・スウォンジーに生まれ、14歳の1961年に地元でベースのロン・グリフィス(Ron Griffiths)さん

本日の一曲 vol.458 アメリカ サンドマン (America: Sandman, 1971)

「サンドマン」「砂男」のことはご存知でしょうか。 もともとはドイツなどの民間伝承に登場する妖精「睡魔」で、姿は目に見えませんが、眠気を誘う魔法の砂が入った大きな袋を背負っており、夜になると、人の目にこの砂を投げ込むので目が開けられなくなり眠ってしまうという言い伝えがあります。夜、寝ない子に「サンドマンが来るぞ」と脅かして寝かしつけるという寸法です。 この「サンドマン」を題材としたものには、古くはホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann, 17

本日の一曲 vol.457 ザ・ウェイラーズ コンクリート・ジャングル (The Wailers: Concrete Jungle, 1973)

今年2024年の2月、アメリカ映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE(Bob Marley: One Love)」が公開されました。 映画は、おそらくボブ・マーリーさんの伝記として、ほぼ忠実に事実を描いていると思われます。ストーリーとしては、回想シーンはあるものの、1976年12月5日の「スマイル・ジャマイカ・コンサート」開催のアナウンスから始まり、狙撃事件からロンドンでの活動を経て、1978年4月の「ワン・ラブ・ピース・コンサート」までが描かれます。 本日ご紹介するのは

本日の一曲 vol.450 グレイトフル・デッド ダーク・スター (Grateful Dead: Dark Star, 1969)

フィル・レッシュ(Phil Lesh)さんのご冥福をお祈りいたします。 グレイトフル・デッドは、サイケデリック・ロックの代表的なバンドです。結成は1965年、バンドのスポークスマンはジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)さんで、ガルシアさんが亡くなった1995年にバンドも解散しました。 ところで、「サイケデリック」とは、本来、「幻覚剤」のことを指します。 日本語版ウィキペディアで「サイケデリック」と検索すると、文化としての「サイケデリック」の項目に飛びますが、英

本日の一曲 vol.446 ポール・デズモンド 10月 (Paul Desmond: October (Outubro), 1969)

ポール・デズモンド(Paul Desmond)さんは、1924年11月25日にアメリカ・カリフォルニア・サンフランシスコで生まれたミュージシャンです。12歳のころからクラリネットの勉強を始めましたが、サンフランシスコ州立大学に入学した頃からアルトサックスに持ち替えました。1943年の大学1年生の時にアメリカ陸軍に徴兵され、第2時世界大戦後、ミュージシャンとして働き始め、1951年にピアニストのデイヴ・ブルーベック(Dave Brubeck)さんたちとデイヴ・ブルーベック・クヮ

本日の一曲 vol.444 ジャックス われた鏡の中から (1968)

「本日の一曲」では、以前、早川義夫さんの作品を取り上げたことがありました。 ジャックスは、1967年に谷野ひとし(1947/10/10~)さん、早川義夫(1947/12/15~)さん、木田高介(1949/1/8~1980/5/18)さん、水橋春夫さん(1949/2/2~2018/8/5)の4人が結成したバンドであり、デビュー・アルバム「ジャックスの世界」は1968年9月のリリース、セカンド・アルバム「ジャックスの奇蹟」は1969年10月のリリースでした。 サブスクでは、「

本日の一曲 vol.443 ビートルズ アイ・ウォント・ユー (The Beatles: I Want You (She's So Heavy), 1969)

ロックスターが“引退”しなくなった理由「GQ Japan」のサイトに「ロックスターが“引退”しなくなった理由」という記事が掲載されていました(2024年10月14日)。要するに、ノスタルジアと再発見が繰り返されていて、ロックスターが稼げると分かったからという主旨になっていると思いますが、興味がありましたら、お読みになってみてください。 また、現在、大阪で開催されているポール・マッカートニー写真展が大阪で開催されています(2024年10月12日~2025年1月5日)。 こ