【詩】"20240818sun”のひまわり【自由律俳句】#15
さて、盆休みも最終日となり、いやすでに数日前から心は荒れ果てていたわけなのだけども、そこはなんとか予定通り娘とスーパーマリオブラザーズワンダーで遊び続けてこの荒廃を押し留めていたのであります。
だが。
だが。
頼みの綱であるスーパーマリオブラザーズワンダーにおいて、まだ前半というか始めて間もないエリアでとてつもない難関すなわち「壁登りジャンプLv2」が文字通り巨大な壁となって我々親子の前に立ち塞がり、おんなじ場所で数百回ジャンプを繰り返してやや進歩し、前進したかと思えばまたスタート地点に押し戻されというまさに三歩進んで二歩下るという実人生の如き苦難に苛まれて共に精神が疲弊、心の荒廃が加速してしまうという本末転倒の結果に陥ってしまいました。
だめだ、もうだめだ。
ゲームの序盤もクリアできずに盆休みが終了する。
こんな敗北感を引きずったまま出社したくない。
いっそ退職するか。
いっそ退廃に身を委ねて親子ともども朽ちるか。
父がそんな堕落した思考に陥っているのを尻目に娘はスーパーマリオブラザーズワンダーをさっさと切り上げ原神をおっぱじめていました。
切り替えが早い。
そこで私は娘を見習いスーパーマリオブラザースワンダーから一旦逃避する術を探してネットの海原をうようよと泳いでみたところ、発見したのがひまわり。
自宅から1時間ほどの場所に「ひまわりらんど」というのがあって、ここには数万株のひまわりが咲き誇っているという情報を得たのです。
さっそく娘を引き連れて出発。
予定通り1時間ほどで目的地到着を告げたナビくんだがしかし、周囲を見渡してもそれ風の場所がありません。
おま、間違ってねぇか?このあたり田んぼしかねぇぞ。
しばしうろうろして空き地みたいな場所を発見したので、車を止めて作戦を練り直そうと侵入したら目の前に立て看板が。
看板は通り沿いに出してほしかった。
奥まった駐車場のしかも一番奥に立てても看板の役目をしないじゃないか。
いやそんなことよりなにより。
周囲の風景が想像と全く違う。
黄色がありません。
周囲の殆どがグレーまたはブラウン。
スーパーマリオブラザースワンダーで行き詰まったときと同様の絶望が押し寄せます。
まぁなんというか、モノクロに変化した気分、視界が。このひまわりを観た瞬間の。
遅かったか。
ああ。
娘はミラーレス一眼、私は20年前のコンデジを虚ろに抱え、枯れ果てた幻野を歩くのだ。
いやに重苦しく頭を垂れる頭でっかちの枯れひまわりの隙間を歩くのだ。
あ。
敷地の9割は枯れているのだが。
すみっこにほんのちょっぴり。
赤いひまわりもあるとのことでそれは、想像よりも赤黒かったがやはりそこにあって。
ほんのわずか。
強大なデカダンの僅かな隙間に拡がるイエローは親子の旅路を称えるようで。
そんな大げさな。
いやぁ、ちいさなちいさな毎日ってのはきっとこれがあるから楽しいのです。
廃れ寂びれ荒れていくぐるりの様子を横目で眺め明日は我が身と知りながらそれでも。
【自由律俳句】#15
今を咲く
#14
帰路。
サービスエリアでレトルトの「GOGOカレー」を購入し、妻への土産としたけれどここは金沢ではない。
猛暑にエアコンを効かせた車内でソフトクリームをベロベロしながらそう笑う親子旅。
ちいさなちいさな毎日はスーパーマリオブラザースワンダーの大冒険に負けることはなく、枯れた大輪の落とした種はまた1年後、この場所をイエローで埋め尽くすはずなのですから来年こそは満開の時期に来るぜ娘よ。
いやーほとんど枯れてたよー
そう言って私は失笑し妻は大笑い娘は苦笑。
どんな笑いであろうとも
ちいさなちいさな毎日が笑いで終わるなら
それでいい
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