“ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観” 第8章編
今日のおすすめは!
D・L・エヴェレット “ピダハン 「言語本能」を超える文化と世界観”
屋代通子訳
*本との出逢い
堀元見さんと水野太貴さんのYouTubeチャンネル”ゆる言語ラジオ”で話題となったこちらの1冊。
イビピーオってなんだろう、水野さんが語らなかった箇所について自ら読みたいという想いで手に取りました。
学びがあった記述やピダハンの情報などを、これから各章毎に分けて読書記録を残そうと思います。
ゆる言語ラジオリスナー(ゆるげんがー?用例?)に楽しんで頂けたらと思います。
それでは第8章からどうぞ!
*第8章
*ピダハンの殺人事件
登場人物
トゥーカアガ
ジョアキン
トメ
コラリオ一家
殺人事件の内容
①コラリオ一家は、計算もできず文字もないピダハンからジャングルの産物を市場価格よりもはるかに安い金額で引取り、大儲けをしていた。
一方、アプリナ族は毎日ラジオで市場価格をチェックし、市場価格に近いレートで取引していた。
②ある日アプリナ族は、コラリオ一家にペテンをするなら、もうポント・セテに来るなと警告し、銃を乱発した。
③コラリオ一家は復讐計画を立てる。
息子ダルシエルは、ピダハンのトゥーカアガ達に一人前になった事を示す為や魚や狩りをする際のライバルを追い出す為に、ポント・セテの住人に向かって撃ちまくるようそそのかし、新品のショットガンを与える。
④運命の日、トゥーカアガと2人の仲間達はジョアキンを待ち構え、腹の辺りを撃った。発砲の音を聞きつけて妻達が駆けつけ、まだ息があるジョアキンを家に運ぶ。
⑤川を上り狩りに出る為に村を離れていたトメと妻は、ジョアキンが何者かに撃たれたという事を知り、ジョアキンの容体を知る為にカヌーで急いで村に向かった。
(残念ながらその頃には、ジョアキンは亡くなっていた。)
⑥真夜中頃、村の手前の最後の曲がり目に差し掛かった時、トゥーカアガ達がトメと妻に向かって発砲した。
散弾がトメに命中し、川に投げ出されたのを、数発食らったのみの妻が、かろうじて髪の毛を掴み頭を水上に引き上げながら、左手でアルミ鍋を使って漕ぎ岸に漕ぎ着けた。
⑦ジョアキンを埋葬するとすぐに、生き残ったアプリナ族達は途方に暮れ、ピダハン達に助けを求めて村に来た。
アプリナ族は、撃って来たのはコラリオ一家か別の民族だろうと思い、ピダハンの事は微塵も疑っていなかった。
そして、家族を殺した張本人に匿われているとは知らずに3日間暮らした。
⑧トメは病院に行き回復したが、治療中に襲撃者はピダハンである事、ピダハンはアプリナ族を忌み嫌っている事を知る。
⑨アプリナ族は殺されるのを恐れて村を出た。
朝から晩まで毎日無給で小作人として働くという条件付きのもと、ブラジル人の土地で小作人として働く事になった。
トメは復讐を心に決めたが、ピダハンに殺される可能性を考え、家族に止められた。
2年間の内にトメと妻、その他2人以外は亡くなった。
⑩ジョアキン殺しの余波でピダハンの大勢が殺される事態になりうることをピダハン達は実感していた。
トゥーカアガはトメを殺しかけて2、3ヶ月経つ頃にはピダハン達全員に脅威に思われ、村から追放をされて1人で暮らす事になった。
仲間との協力が必須なアマゾン地方での追放は究極の刑罰。
⑪村から追放されて1ヶ月後ほどに、トゥーカアガは謎に包まれた状態で命を落とした。
ピダハン達はエヴェレットに死の真相を話すのを拒み、風邪で死んだと話す者もいた。
エヴェレットは村の誰かが殺したのかもしれないと考察している。
*ピダハンの社会
ピダハンは指導者も法律も規則もないが、社会を律する為に追放という仕組みを採用している。
ピダハンは仲間内では寛大で平和的だが、自分たちの土地から他者を追い出そうとする際は暴力も辞さない。
アプリナ族は異なる文化の人間であっても一世代を共にすれば共存出来ると信じていたが、ピダハンはよそ者を黙認し共に暮らす事をしない。
*また次回お会いしましょう!