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韓日ウェブ漫画翻訳のトライアル必勝法―受かるコツ7つ教えます

韓日ウェブ漫画翻訳のお仕事をもらうには、まず「トライアル」と呼ばれるテスト翻訳を受ける必要があります。

長く韓日ウェブ漫画業界で活動をしていると、トライアルなしで採用してもらえるケースもありますが、最近では知人の紹介でも形式上トライアルを行う会社が多い印象。

韓日ウェブ漫画翻訳を始めたいのに「トライアルに合格できない……!」とお悩みの方は、この記事の内容をチェックしてみてください。

※この記事は2023年10月3日にTweetしたものを追記・充実させたものです。

▼韓日ウェブ漫画翻訳について知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。


必勝法その① 直訳はNG

まず、直訳はNGです。

「비가 와!」を「雨が来る!」と訳すのは何が間違っているか、わかりますよね?

日本語では、雨は降るものです。来るものではありません。

同じように、学生が家で勉強を教えてもらう「과외」を「課外」としてしまったり、小中高における「학생수」を「学生数」としてしまったりしていませんか?

正解は、「과외」は「家庭教師」、小中高における「학생수」は「生徒数」ですね。(大学生だと直訳の学生数で問題ありません。)

日本語と韓国語は非常に似た言語ですが、多くの場合、直訳では成り立ちません。

そのため、「自然な日本語」を常に意識しましょう

必勝方その② 状況に合った柔軟な意訳

次は、柔軟な意訳を心がけましょう。例えば、こんなセリフがあったとします。

「좋은 아버지가 되지 못 해서 미안하다」

あなたならどう訳しますか?





A. いい父親になれなくてごめんな
B. こんな父親でごめんな
C. すまん…こんな父親で…

例を3つ、挙げてみました。

A. 違ってはいませんが、直訳気味かもしれません。
B. 日本語話者のお父さんなら、こんなふうに言うんじゃないかな?と想像しました。
C. かなり感情的なシーンなら、これくらいでもいいかもしれません。

もしAのような、「原文に忠実すぎる翻訳」をしている場合は、物語の前後の流れ・雰囲気・表情等を読み取った意訳をふんだんに取り入れみてください。

翻訳会社によってはかなり飛躍した訳が好まれることもあります。原文にとらわれず、日本語の読み物を生み出すことを意識しましょう。

💡作品によっては「直訳」を指定されることもありますし、意訳をあまり好まない会社も存在します。それについては<後日別記事で詳しくご紹介します>!

▼韓日ウェブ漫画翻訳における「意訳」の大事なお話


必勝法その③ 日本の読者に楽しんでもらえる作品に仕上がっていますか?

上で紹介した項目「②状況に合った柔軟な意訳」と似た内容になりますが、あなたが翻訳した作品を読むのは主に日本の読者の方々です。

日本語で読んで、おもしろい作品になっていますか?

「翻訳すること」にとらわれすぎて、日本の読者には馴染みのない「韓国的要素」を見落としていませんか?

時事問題やその時の流行語やギャグなど、かみ砕いたり、似た日本語表現に置き換えなければその面白さが日本の読者にはちゃんと伝わりません。

原作の面白さを潰すような翻訳家は求められていないため、面白い作品をより面白く。

それを心がけてみてください。

💡このマガジンでは今後この辺りの「私たちウェブ漫画翻訳者の課題」を掘り下げて行きますので、是非フォローしてください♥

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▼完成度の高い作品に仕上げるための「本当は教えたくないコツ」!


必勝法その④ 誤字脱字は言語道断!

① ~③までを意識できたなら、絶対にゼロにしたいのが誤字脱字です。

いくら良い翻訳物に仕上げられても、誤字脱字が多いと信用に関わります。

「誤字脱字くらいすぐに修正できるんじゃ?」

いえいえ、私たちが翻訳したものはすぐに編集・写植(日本語版に仕上げる作業)に移ります。

誤字脱字が多いと、編集担当者さんに修正の負荷がかかってしまうんです。

そのため私は普段の翻訳業務でも最低3回は読み返すようにしていますので、テスト翻訳なら10回は読み返すと思います。

誤字脱字はなくせるミスなので、読み返し作業を徹底しましょう。

ちなみに記事の出だしからここまでに1ヵ所、脱字があるのに気づけましたか?気づけなかった方は探してみてください。

💡そのうちお店のメニューなどの誤字脱字を探すのが趣味(職業病ともいう)になります。

必勝法その⑤ 期日を守れるか

当たり前のことですが、納期は守りましょう。

余裕をもってテストを提出するに越したことはないです。

ウェブ漫画は連載ものですので、納期を厳守できる翻訳家さんが求められています

必勝法その⑥ レスポンスの速さ

「⑤期日を守れるか」と同様に、納期の切迫した作品が多いウェブ漫画業界、普段からすぐさま連絡を取れる翻訳家さんは非常に強いです。

「返事をもらえるまで数日かかる……」というクライアント泣かせの翻訳家さんも中にはいますので、急ぎの確認事項などをすぐさま対応してもらえる翻訳家さんなのか、レスポンスの速さも翻訳会社さんは見ていますよ。

Sakeの独り言:
「私は返信の速さから自動応答機能搭載と呼ばれています。フフフ…」

必勝法その⑦ 人柄

最後に人柄です。私たちはみんな人間です。気持ちよく取り引きができる人と一緒に働きたくありませんか?

おもにメールやカカオトーク、LINEなどでの文字のみでのやり取りとなりますので、温和なコミュニケーションの取り方を工夫してみてください。

ここだけの話、とげのある人には仕事を振らないという話を耳にします。そりゃそうですよね。


…いかがでしたか?

自分の弱点がもし見つかったなら、そこを強化して次のトライアルに挑んでみてください。

このマガジンでは今後、

・「完成度の高い韓日ウェブ漫画翻訳」を創りあげるために必要なノウハウ・知識
・韓日ウェブ漫画翻訳家になるには
・韓日ウェブ漫画翻訳トライアルに受かるには
・韓国語力はどのくらい必要?
・クライアントへの請求方法は?
・源泉徴収って何?
・海外のクライアントから報酬を受け取るには?
・必要なパソコンのスペックは?

などなど、韓日ウェブ漫画のあれこれを惜しみなく伝授していきますのでどうぞお楽しみに!

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このマガジンは、韓日翻訳家のかぶりSakeが共同で執筆・運営しています。

かぶり@Hidemi_K
1997年より韓日翻訳に携わり、字幕やウェブ漫画翻訳など多方面で活動中。著書に「韓国語ネイティブ単語集」(扶桑社)「ためぐち韓国語」(四方田犬彦共著、平凡社)、翻訳書に「グッドライフ」「クミョンに灯る愛」(ともに小学館)「ヒトは誰も真実恐怖症」「オトコとオンナのもやもやモード」(ともに講談社)などがある。

Sake@koalaeatsmaccas
2013年より韓日ウェブ漫画翻訳を始め、人気作の翻訳やウェブ漫画翻訳者の新人養成、監修、出版用ウェブ漫画の翻訳も手がける。これまでに訳した話数は1万話ほど。ほぼ全ジャンルを網羅。南半球で隠居中。

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