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黒曜石の花

黒曜石の花が咲く。咲いた花はひらり散って、地面に落ちて砕けていった。

僕はその砕けた欠片を、拾い上げて飲み込んだ。
飲み込んだ欠片が、すぅっと溶けて消えていくのを、お腹の中で感じていた。


君がくれた花。黒い石の花。君が咲かせた花。僕が壊した花。
ばらばらになった花びらは、もう二度と元に戻ることはない。
粉々に砕けた石は、もう二度とくっつくことはない。
途切れた縁が、再び結ばれることは、

もう二度と、ありえない。


『さようならを飲み込む代わりにさ、きみがその石を飲み込んでよ。』

君の言った最後のわがまま。
黒い花の砕けた欠片は、鋭利に尖って黒光りしていた。
僕はそれを指で摘んで拾い上げる。唇に持っていくのを目撃しながら、唾を飲み込む君と目が合う。君はその時目を逸らした。僕の目から目を逸らした。

逸らしていたいのは僕の方なのに。
尖った切先は僕の口の中を引っ掻いた。
じわり、鉄の味が広がった。


君との最後の、キスの味。

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