夢が現か現が夢か
「いつだったか母が言うとったの」
『お母さんお幾つだっけ。八十四?』
「そうや。何も成し遂げてへんって」
『ああなるほど。わかるなその気持ち』
「わたしも同じや。夢は叶うてへん」
『夢が何だったか忘れちゃったよ』
「なんや寂しいような虚しいような」
『そこでオレはすっかり居直ったのさ』
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こんにちは!
フジミドリです☆
─こちら西遊記はフジミドリの別アカウントとして創作裏話をお伝えしております─
今回の【癒や詩絵物語】は【夢は叶うか】について物語と詩を編み、朔川揺さんの柴絵で締めました。
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「ほな、居直る言うたらどんな風にや」
『実は起きてる間こそが夢なんだよ』
「ほほぉ。なら眠っている時が現実なんか」
『そう。オレたちは今、夢を見てるのさ』
「夢が現か現が夢か。そういやフジさん、前からそないなこと言うとったな」
『眠りの世界では時間も空間もないんだよ。どこの誰とでも自在に交流できちゃう』
「そらまた便利やな」
『知ってるとお得だね!』
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道術家である私としては自然な感覚ですが、一般にはどう思われるのでしょう。ちょっと想像がつきません。
とは言え、実際のところ夢がどんな世界であるか、まだよくわかっていないのです。
世界中で、心理学や脳科学の研究者が競っています。でも、解明はされていません。
道術では眠りの世界こそが真実です。
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「せやけど、夢の中で何やってるんかなんてわからへんからな。見とうもない夢ばっかり見たり、思うようにいかんかったり」
『わかるわかる。魘されて目が覚めたりするよね。でも、情報量が大き過ぎて夢の大半は脳に入り切らないだけだからさ』
「もどかしいような落ち着かんような」
『それでオレは実験して来たわけよ』
「自分の人生で試してみたんやね」
『研究室でやるよりマジ面白かった』
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眠る前の一時、一日を省みて、あれが不自由だったこれは自由であると振り分けます。
あるいは、ああしたいこうなりたい夢の暮らしを想像の中で体験してみるのです。
すると、夢としては思い出せなくても、眠りの中で体験してきた私が目覚めます。
そのようなあり方なのです。
望む現実を引き寄せるために潜在意識を使うわけではありません。むしろ逆です。
夢の世界で済ませてしまい、潜在意識を空にするためとでも申しましょうか──
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『イラストありがとね~癒されたよ』
「ほなよかったわ。嬉しいことやで」
『仕上げに柴絵を見たら直せたのさ』
「すまんな。またいらんこと言うて」
『いやいやとんでもない。アドバイス通りに直せたかわかんないけどね』
「まぁ、漠然とした自分勝手な感想やったからな。けど、良くなったと思うで」
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道術と出会う以前の私なら、書いた作品に感想を頂く時は恐かったと思います。
褒められると舞い上がって、批判されたなら落込んでいたのではないでしょうか。
いずれにしても冷静に聞けませんから、実りある修正へも繋がらなかったと思います。
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「どんな感想言うても、きちんと受け止めてもらえるから、わたしとしては気楽やな」
『自分じゃ気づけないことを教えてもらえるから、オレは新鮮で刺激があるんだよ』
「なかなかそう聞いてくれへん人もおるよ。自分の作品が可愛いのはわかるんやけど」
『相手によるんじゃないかな。オレも揺さん以外だと聞かないからさ。相性というか』
「ほな、遠慮なく言わせてもらうわ」
『一人で書けるってホント感心するよ』
「まぁ、そういう人もおるんやろな」
『オレは一人じゃ続かなかったね』
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お読み頂きありがとうございます!
次回のフジミドリは10月20日の午前十時です。こちら西遊記が木曜日となります。
是非いらして下さい。