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くまだまさしと壊れたメガネ

不意に写真や動画撮るべからず。


こんにちは。
彩夏です。


私は友達が多いわけではない。
だけど、一度友達になってしまうと生涯その人とは友情を育んでいけるタイプなので、人生において友人というものは、どんな私も許容してくれる数名がいればいいと思っている。


先週末、地元の友人たちと集まることになっていた。


毎度言っていることなので耳タコかもしれないけれど、私は生粋の出不精。出不精選手権に出場したなら間違いなく優勝だろう。
そこへきて、リアル世界ではなかなかの人見知り猛者なのだ。


いつものメンバーなら気を使うこともないし、そもそも集合場所は友人バタコのお義母かぁさんがやっている小料理屋。
19時に集合。「あとはご自由に~」というお義母かぁさんの言葉を聞く21時を通過し、解散はだいたい午前3時。帰宅は新聞配達が早いか、私が早いか。そんな負けられない戦い。


いつメンの5人なら一つの気兼ねもないのだけれど、今回は予約が被ってしまい、5歳以上年下の女性が数名混じることになった。


そのうちの一人「K」は、私が結婚してからしばらくパートで働いていた酒屋で、当時学生アルバイトをしていた。地元に生まれ育ち、地元で就職、結婚し、ずっと地元に住んでいるKのことをこの場所で知らない人はいないと思う。


昔からKは私のことを「姉」と慕ってくれている。なにやらKの周りの人たち、誰もが「彩夏さんとK、雰囲気そっくり」と言うらしく、飲み屋さんなどで私の実弟(ツグオ、ミツオ)に遭遇するとKは「おーーーい!!弟---!!!」と絡んでくるらしい。


ツグオとミツオはそれをKテロと呼ぶ。


1人時間を何より大切にしている私。
家庭という守られた空間。
めがねさんのいない週末の夜。
どんな格好をしていようと、何をしていようと、
誰にもとがめられない素敵な時間。


そんな大切な夜を。
Kや、その深く知らないKの友人達と共有しないといけないのだろうか。更年期というあらがえない加齢の波に少しずつ足をとられている私は正直気分が乗らない。


彩夏しっかり考えろ。
自分の大切な時間だぞ。


寸前になって
「私、行かない」
5人のグループLINEにそう連絡を入れた。


その10分後。
近所に住む友人ナガコ(いつもの5人のメンバー)が我が家のインターホンを鳴らした。
「はよ乗れよ」
そう言われ車に乗るよううながされた。
私の界隈では「行かない」という選択肢は通用しないらしい。


店に入った途端Kに熱烈に歓迎された。
「彩夏ちゃん、お茶!!」
その圧力に恐れおののいた私はグラスは倒し、お茶は無惨に床に流れこぼれ落ちた。

「彩夏ちゃん、おでん何食べる?」
すでに何杯酒を飲んでいたのかは知らないけれど、お玉にすくった出汁は4/5、器ではなく鍋に戻っただろうと思う。

「彩夏ちゃん、ケーキカット一緒にして!!」
誕生日だったKに準備されたケーキを一緒にカットしたけれど、2個ほど、自力で立つのは無理じゃない?てほどの薄さだった。


Kから全力の頬ずりを受けたあと、
このめがねをかけられた。
紐を引っ張ると瞼がパチパチするやつ。


すでに左側壊れてたけどね


紐を引っ張りながら、私はヤケクソで言う。


くーまーだーまさしーの
くーまーだーまさしーの


ん?


メガネの右側の瞼だけをパチパチしながら連呼した「くまだまさし」は、即刻、仲間内のInstagramのストーリーズに投稿された。


「誰かわからんように加工しといたるわ」とただモノクロにだけ加工された私の奇行動画。


そして、後になって気づく。


あれ?
「このメガネ、くまだまさし」ちゃうやん。


ザコシやん



ええんやろか



いつものメンバーはそんな私に言う。
「家で寝転んどる場合ちゃうぞ」


こんなことしに来たんちゃう。



画像は《Sachi Kuribayashi 栗林さち》さんからお借りしました。


それでは。
最後までお読み頂きありがとうございます。
ばいなら


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