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式神の囁き

20歳になる私は10歳に戻っていた
夢かうつつか彷徨う意識
いつも遊んでいた神社の中で
私は、何をして、何を感じていただろう

見慣れた神社だというのに
この世じゃないような不思議な感覚が
私の五感を狂わす

それでもそこに居るのは
間違いなく「私」であって
私は「私」としてそこに居る

小さな神社の境内には似つかない
ブランコがあって
人気ひとけのないこの場所で
友達と語り合う
あの時間が楽しかった

その場所に「私」は居る
ブランコ横の少し開いた場所で
うずくまる

これから行われることを
知ってか知らずか

やっぱりね、、、目の前には
人型の白い紙人形が
手を繋いで「私」を囲む

紙人形というべきか
式神というべきか

回りまわって歌い出す
かごめかごめと始まって
かごの中の鳥はと続き
いついつ出やる、夜明けの晩に

式神は嘲笑っているように見えた

鶴と亀が滑った

後ろの正面だーぁれ

「私」の正面の式神は
唯一真っ黒な紙人形で
そのまま私の「中」へ入ってきた

ニヤリと笑って入って来た
確実に私の「中」に

突然、夢から覚めた私は
目だけがガン開きで
ドクドクと鼓動が激しく唸り
冷や汗と荒い息で自分を取り戻していった

何が起きたのだろうか
私はどうなったのだろうか
何もわからないということだけが

分かった

ただの夢かもしれないし
何かの暗示だったかもしれない
はたまた悪霊という線もあるし
「私」を取り戻す何かだったのかもしれない

ちょっと可愛くなった式神ちゃん?!

あとがき
20歳のころみた夢です
またホラーな詩になりました
もう夏だからね

※人型の紙人形とは、ジブリ「千と千尋の神隠し」に出てくる人型の紙でできた人形、紙の式神?まさにあれです。


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