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ガン患者の家族の闘病記

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#弟

弟の散骨

弟の散骨

弟の遺言は戒名は要らないし、猫の遺骨と共に、海に散骨して欲しいということだった。

それは、独身だった弟が、墓参りとか法事とかで、私に迷惑をかけたくないということだった。

生前、弟は海にあまり行ったことない。

だから、本当にいいの?と何度も弟に訊いた。

父は、弟の死をなかなか受け入れられなかった。

そして、

父は散骨に躊躇していた。

息子が跡形もなくなってしまうのはイヤだったと思う。

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弟と甘味

弟と甘味

弟が胆管ガンで余命一年と宣告されてから

甘味処もよく行った。

弟は下戸で一滴も飲めない。

イナムラショウゾウ(チョコ)
月光(手つき餅)
OTOWA FUJIYA(シュークリーム)
AU BON VIEUX TEMPS (ケーキ)
銀座ウエスト(シュークリーム)は

弟が行きたいと言ったので、

神社仏閣とセットだった。

「あんたが死んで、すぐに生まれ変わって15年後」

「私が70歳で、

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弟と神社仏閣をめぐる

弟と神社仏閣をめぐる

2018年5月。弟は胆管ガンで余命一年と宣告された。

医師は「うちの病院でも治療出来るが、有明の癌センターに紹介状を書く」と言った。

「そこにいけば、寿命が長くなりますか?」

「それは、変わらないと思います」と医師は断言した。

弟は「姉ちゃんの家の近くの病院にする」と言ってくれた。

毎週通院での抗がん剤の治療がはじまる。

正直言って、もう抗がん剤治療なんて信じてなかったのだが、(笑)

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弟は優しい人

弟は優しい人

ひとつ年下の弟は、優しい人だった。

夫の看病もよく手伝ってくれた。

猫も大好きで、保護猫をよく可愛がっていた。

それに、親思いだし、

不出来な姉の私にも、我慢してよく付き合ってくれたと思う。

社会的な成功に恵まれたとは言えない人生だったが、

人に迷惑をかけずに生きていた。

そんな優しい弟が、胆管ガンになってしまった。

有名にならなくても
お金持ちにならなくても
何かを成し遂げなくて

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