弟と神社仏閣をめぐる
2018年5月。弟は胆管ガンで余命一年と宣告された。
医師は「うちの病院でも治療出来るが、有明の癌センターに紹介状を書く」と言った。
「そこにいけば、寿命が長くなりますか?」
「それは、変わらないと思います」と医師は断言した。
弟は「姉ちゃんの家の近くの病院にする」と言ってくれた。
毎週通院での抗がん剤の治療がはじまる。
正直言って、もう抗がん剤治療なんて信じてなかったのだが、(笑)
弟が長年痛がっていたであろう、みぞおちの痛みが取れた。
それだけでもありがたかった。
抗がん剤治療が終わるのが、15時。
それから近くの神社やお寺に行って、食事した。
抗がん剤治療したあとの1週間は、むくみや吐き気で辛いのだが、
抗がん剤治療の当日は、とても元気だった。なので、遅めの参拝だけど、仕方なかった。
弟が「徳川家康が好きなんだ」と言うので、徳川家由来の神社仏閣に行った。
よく行ったのは、上野の東照宮。芝の増上寺。
楽しかったな。
もうガンとたたかう気もなく、
悲壮感もなく、
弟と私が楽しいことはなんだろう?といつも考えていた。
つづく