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ガン患者の家族の闘病記

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#下咽頭癌

夫の気力

夫の気力

夫は転院し輸血のおかげで、歩けるようになったので、会社に行きたいと言いだした。

外科部長は、看病する私のことを心配してくれたが、

主治医は早く退院して欲しいと言っていた。

主治医はの言い分は「こんなところにいたら死んじゃうよ」ということらしい。

病院は、毎日面会に通ってみればわかると思うが、すごく疲れる。

家から自転車で行けるようになり、気持ちもラクになった。

そんなこんなで、「あさっ

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夫はすごい人

夫はすごい人

夫は余命もあと僅かで、心肺停止を2度も繰り返したのに、退院してからも、通勤した。

家から30分もあれば、会社に行けるのだが、

ひどい貧血のため、休み休みしか歩けなくなった。

それで、1時間半前に家を出る。

私は「タクシーを使って欲しい」とお願いしたが、どうしてもイヤだと言う。

それならば、私が会社の近くまで送って行くと言ってみたが、それも断られた。

ちょうど6月、7月。
雨が降ったり、

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夫の怖い病室

夫の怖い病室

今回はICUに二泊しただけで、すぐに出ることが出来たが、

ナースステーションの隣のお部屋に移された。

前回は新館だったので、HCUだったのだが、

昭和に建てられた古い病棟は、ナースステーションの隣の部屋だというだけだ。

今回は、突然心肺停止になったので、何人かの医師が病室に入ってきて、夫に訊く。

「なにがあったのですか?」

そんなことは、私たちが訊きたいと思った。

ナースステーション

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夫二度目の肺炎

夫二度目の肺炎

看護師からすぐに来てくださいと連絡があった。

トイレに行こうとして、意識がなくなり倒れたらしい。

夫は覚えてない。

医師から炎症反応CRPの数字が高いと聞いたので、

「肺炎じゃないですか?」と尋ねたら

レントゲンを見ながら、「僕は違うと思う」と言っていた。

1週間後、いろいろな検査をしても、CRPが高い原因が見つからないと看護師が言うので、

再度「肺炎じゃないんですか?」と訊いたら、

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夫の余命宣告

夫の余命宣告

夫婦2人で医師の説明を受けるために、消化器外科へ行く。

主治医は、いつになく暗い顔をしている。

私の顔もまともに見ない。

「下咽頭癌ですね。手術すると声が出なくなる人が多いです。そして、予後が非常に悪いです」

夫の顔を見たら、真っ青だった。

「以前、放射線をかけているので、
基準値以上はかけてはいけない決まりがあるので、手術をおすすめします」

そして、

夫は「手術はしません」ときっぱ

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