夫はすごい人
夫は余命もあと僅かで、心肺停止を2度も繰り返したのに、退院してからも、通勤した。
家から30分もあれば、会社に行けるのだが、
ひどい貧血のため、休み休みしか歩けなくなった。
それで、1時間半前に家を出る。
私は「タクシーを使って欲しい」とお願いしたが、どうしてもイヤだと言う。
それならば、私が会社の近くまで送って行くと言ってみたが、それも断られた。
ちょうど6月、7月。
雨が降ったり、暑かったりで、途中で倒れているのではと心配した。
夫はそんな痩せ細った体で、
営業の仕事をこなし、売り上げは社内で2位だった。ボーナスも最高額が出た。
しかし、会社から「自動車は危ないので乗らないで欲しい」と言われて少し落ち込んでいた。
2016年7月30日。とうとうイスから立ち上がれなくなる日まで、よく働いた。
清貧を好み
素朴な人だったけど、
みんなから愛された。
我が夫ながら、すごい人だなって思った。
つづく