愛というカンジは
大切なのは愛
愛がすべて
宣う人もあるけれど
愛という言葉は
日本語に馴染まない
そう感じていた
私が勤める塾で
生徒に愛を語るなら
たちまち職は失われ──
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こんにちは!
フジミドリです♡
三か月のご無沙汰でした。
【癒や詩絵物語】シーズン2始めます。
私は道術家です。日々の暮らしから、気づきと理解を得て自由自在になってきました。
詩と物語が浮かびます。旧知の朔川揺さんは柴犬の絵を描いてくれました。
ご覧になって、癒される方がお一人でもいらっしゃるなら嬉しいご縁です。
では早速──
☆☆☆
ある日のこと、初老の塾講師は漢字を教えながら、ふと気づいたのです。「愛」から「心」が取れて「受」であると。
『あのね、漢字を覚える時はさ、バラバラに分解するといいよ。例えば、この愛って漢字から心を取って受けるんだな』
生徒が感嘆の声を挙げます。個別塾の授業は話す相手が一人しかいません。
『思い出すよ。私があなたと同じ小学六年生でね、始まるって漢字を忘れちゃって、隣の女の子に訊いたわけさ』
塾講師の心に色白の顔が浮かびました。涼しげな目元は細まって、鉛筆を持つほっそりとした指がノートの上でなめらかに動きます。
少女は少年の耳元で囁きました。
─女が無口になると始まるのよ─
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「先生、その女の子ってムチャクチャ頭いいじゃないですか。とってもオシャレですよ。もしかして初ラブだったんですね?」
『あはは~そうかも。あの時は気づいてなかったけど。うーん、そうだったのか』
「それからどうなったんです?」
『私が中学で引っ越しちゃってさ』
「うぅぅ。それはとっても残念です」
『やれやれ。もう半世紀たっちまった』
「どうしているんでしょうね」
『嫁にいって……孫が小六かも』
「あ。嫁は女偏に家ですよ」
『女が良い時は娘だな』
「きゃあぁ。女が古いと姑じゃん!」
『おい。なぜそんな漢字を知っている』
「それは先生、女の子の秘密ですよ」
『わかった。触れてはいけないね』
☆☆☆
愛とは・・
心を受け止めること
誰のどんな悲しみでも
愛とは・・
心を受け流すこと
誰のどんな喜びでも
心は・・
止めて流せばゼロになり
かろやかになめらかに
やわらかな光へ戻るのです
愛とは・・
心を受け入れること
透き通った心を受け入れること
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お読み頂きありがとうございます!