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斉藤洋『白狐魔記・源平の風』
※注 この記事はネタバレを含みます。
作者は「ルドルフとイッパイアッテナ」の作者、斉藤洋さんです。
仙人の弟子になって人間に化けることができるようになったキツネ、白狐魔丸(しらこままる)の人間探求の物語です。タイトルの「源平の風」でわかるように、源平の合戦に白狐魔丸も巻き込まれていきます。
この物語は、シリーズ物になっていて、この後に「蒙古の波」「洛中の火」「戦国の雲」と続いていきます。白狐魔丸が時空を超えて人間探求をする、という物語のようです。
第一作の「源平の風」は一冊丸ごとプロローグという内容でした。修行をして人間に化けることになった白狐魔丸は「人間はなぜ人間同士殺しあうのか」という疑問を抱き、源平の合戦に巻き込まれていきますが、源義経とその家臣たちと関わる中で少しづつ考え方が変わってきた、というところで話は終わりました。
白狐魔丸というキャラクターが読者と物語を繋げる役割をしていると思いました。白狐魔丸の疑問は読者の疑問でもあるのです。「源平の風」では人間の代表(?)として鎌倉武士が登場しますが、白狐魔丸は武士の無常を目の当たりにします。白狐魔丸の感覚は読者に近く武士の考え方が理解できない、というのは私たち現代人の考え方に近いです。ただ、一緒に過ごすうちに白狐魔丸の考え方にも変化があらわれます。
作者は白狐魔丸をとうして、その時代の人間というものを伝えたいのかなと思いました。
児童書なので、思いテーマもサラッと書かれているので、読みやすいと思います。大人でもサクサク読めるので楽しいです。シリーズ全部読んで、白狐魔丸がどのような答えを出すのか見届けたいと思います。