TikTok親会社「ByteDance(バイトダンス)」社の始まり
こんにちは。
株式会社ニュークラウドの代表「木村」です。
2022年の世界ユニコーン企業第1位である「ByteDance(バイトダンス)」社。TikTokの親会社であり、企業価値は1,400億ドル(約17兆7,720億円)にも上ります。
世界ユニコーン企業のトップの座についたのは、創業から約8年。一体どのような創業ストーリーがあるのか、気になりましたので、調べてみました。
創業者「張一鳴(チャン・イーミン)」について
まず創業者の「張一鳴(チャン・イーミン)」氏は、1983年(現在39歳)に中国の福建省に生まれました。電子機器の加工工場を営む父親と看護師の母親の間で育ち、子供の頃から海外で出会った新しい技術や新規製品開発などの話をよく聞かされていたとのことです。その為、幼少期からすでにテクノロジーやビジネスに強い興味を持っていました。
そして中学生になり科学者を志したのですが、科学だけでは満足せずコンピュータ工学にさらに興味を持つようになりました。その後、大学ではソフトウェアエンジニアリングを学び、卒業後は旅行サイトを運営するベンチャー企業(Kuxun, 酷讯旅游)へ就職。同社は、後に「TripAdvisor」に買収され(現在は美団が買収)、チャン氏はいきなりスタートアップの成功を目の当たりにしました。
その後、大企業の情報管理に興味を持ちMicrosoft社へ転職したのですが、大企業での働き方が合わず、すぐに別のスタートアップ企業(中国版TwitterのFanfou, 饭否)へ転職。しかし、2009年に同サービスが閉鎖され、次の道を探さなくてはいけない状況に。
そこで前職の「Kuxun」から不動産検索事業を引き継ぐ形でスタートアップサービス(99fang.com, 99房)を立ち上げ、150万人以上の新規ユーザーを獲得後、別の社長に経営を全て任せ離れることにしました。
なぜ離れたのか。それは、99fang.comに携わっていた間、チャン氏はユーザーがスマホ上で情報を得ることが難しいと目の当たりにしており、そこにAIソリューションを組み合わせて新しい事業を立ち上げたいと考えていたからです。また当時は、ユーザーがパソコンからスマホへプラットフォーム移行を初めており、スマホに特化したAIを使った情報検索が今後くると確信していた部分もあります。(現在のGoogleのような形です。)
始まりは「AI×ニュース」
こうして2012年に誕生したのが「ByteDance」社です。北京の4ベットルームアパートメントで設立された同社は、まず「AI×ニュース」のプラットフォーム「Toutiao(今日頭条)」をローンチ。同アプリは、2017年には1.2億DAU(Daily Active Users)を持つほどの人気アプリに成長していきました。
そして「AI×動画×レコメンド」
ByteDance社創業時、米国では「Snapchat」がちょうどローンチされ、多くの国のティーン層で人気を集めていました。また2014年(ByteDance創業から2年後)には、別の中国人創業者(Alex Zhu氏)がTikTokの原型とも言えるアプリ「Musical.ly」をローンチ。欧米諸国やアジア諸国などで大人気になりました。
こうした「短尺動画×エンターテイメント要素」の大きな流れが来つつあると感じたチャン氏は、早速流れに乗る準備を始めました。具体的には、Musical.lyのような短尺動画のコンテンツプラットフォームに自社アプリ(Toutiao)にて活用したAI技術を埋め込み、ユーザーの好みや検索結果に基づいてコンテンツ提案をする仕組みを作り出しました。
そして、2016年9月にTikTok中国版かつサービスの原点である「Douyin(抖音)」を正式ローンチ。たった200日でアプリ開発を完成させ、1年も経たないうちに中国とタイで1億人のユーザーを獲得。現在毎日10億再生以上の動画視聴される巨大メディアになりました。
さらに2017年には、競合であった「Musical.ly」を買収、2018年にはブランドを統一&市場を完全独占して世界的な急成長を果たしました。
なぜここまで大きな成長を成し遂げられたのか。それは、「AI×動画」という単純な所だけでなく、そこに「レコメンド」という現代に合わせた大きな施策がありました。
DouyinやTikTokにて最も注目するべき点は、大半のユーザーがレコメンドされた動画を視聴して過ごしている事です。AIのアルゴリズムでユーザーが閲覧済みのコンテンツを基に、好む最適なコンテンツを分析&提案してアプリ上で過ごす時間を増やしています。また一般的なSNSと異なり、自分からフォローなどをしてコンテンツを取りに行く必要がなく、アプリ側からどんどん提案されるため、自然的にバイラル(ウイルスのように拡散されること)が発生するように作られています。
そのおかげで強い中毒性を世界中に普及させ、AIサービスとして不動の地位を築き上げることができたのです。
最後に
大きな成功を収めた起業家は、皆時代の波を感じる嗅覚とそれに乗る力が本当にあると改めて感じました。また時代のニーズに合わせたサービス設計も必要であることも。
例えば、現代の人々は生活品質の向上により、自分から情報を取りに行くことができない体になっています。そのため、レコメンドや提案を待っている方がほとんどです。そこに初期から着目したByteDance社は、本当に着眼点が凄いです。
またAIはもちろんですが、今後「レコメンド」という分野も全サービスの核部分になってくるのではないかと新しい学びにもつながりました。弊社サービスも「レコメンド」をどのように実装するか改めて考える必要があります。
この記事がお役に立てると幸いです。
株式会社ニュークラウド 代表「木村」
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