まいにち易経_0116【家庭から始まる世界の調和】家を正しくして天下定まる。[37䷤風火家人:彖伝]
家人有嚴君焉。父母之謂也。父父子子兄兄弟弟夫夫婦婦。而家道正。正家而天下定矣。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
まず、「風火家人」という言葉の意味からお話ししましょう。「風」は広がりや影響力を、「火」は情熱や活力を表しています。そして「家人」は、文字通り家族や家庭を意味します。つまり、この卦は家庭から始まる影響力と、そこにある情熱や活力について教えてくれているのです。
さて、皆さんは「家庭」と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか? 温かい食事やくつろぎの時間、時には些細なことで言い合いになることもあるかもしれません。でも、実はこの「家庭」こそが、私たちの人生や社会全体に大きな影響を与える源なのです。
易経では、すべての物事は内から外へ広がっていくと教えています。これは、まるで石を池に投げ入れたときに広がる波紋のようなものです。小さな石でも、その影響は池全体に広がっていきますよね。同じように、私たちの家庭での行動や態度が、やがて社会全体に影響を与えていくのです。
古代中国の思想家である孔子は、「修身斉家治国平天下」という言葉を残しています。これは「自分を磨き、家庭を整え、国を治め、天下を平和にする」という意味です。つまり、社会を良くするためには、まず自分自身から始めなければならないということなのです。
では、どうすれば家庭を正しく治めることができるのでしょうか? 易経は、まず自分の心を安らかにし、自分自身を磨くことが大切だと教えています。例えば、毎日少しずつでも自己啓発の本を読んだり、瞑想をしたりすることで、自分自身を見つめ直す時間を持つことができるでしょう。
そして、家族一人一人が互いに思いやりを持ち、譲り合う気持ちを大切にすることが重要です。これは、まるでオーケストラのようなものかもしれません。オーケストラでは、それぞれの楽器が自分の役割を果たしながらも、他の楽器とバランスを取ることで美しい音楽を奏でます。同じように、家族一人一人が自分の役割を果たしつつ、互いに協力し合うことで、調和のとれた家庭を作ることができるのです。
このような家庭の姿勢は、やがて周囲の人々にも伝わっていきます。例えば、職場でも同僚との関係に良い影響を与えるでしょう。そして、そのような良好な関係性が広がっていけば、最終的には社会全体がより良いものになっていくのです。
ここで、もう一つ興味深い例え話をしましょう。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、「ポリス(都市国家)は家族の集合体である」と言いました。つまり、社会は多くの家族から成り立っているということです。一つ一つの家族が健全であれば、社会全体も健全になるということですね。
皆さんは将来、様々な分野でリーダーシップを発揮することになるでしょう。その時、この「風火家人」の教えを思い出してください。大きな組織を動かすときも、まずは身近な人々との関係性を大切にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
例えば、チームのメンバーとコミュニケーションを取る時間を増やしたり、一人一人の意見に耳を傾けたりすることで、「家族」のような温かい雰囲気を作ることができるかもしれません。そうすれば、メンバー一人一人が安心して自分の能力を発揮できる環境が整い、結果としてチーム全体のパフォーマンスが向上するでしょう。
また、組織の中で問題が起きたときも、「家族」のように互いに支え合い、解決策を見つけていく姿勢が大切です。これは、まるで難しいパズルを家族全員で解くようなものかもしれません。一人では解けないパズルも、家族みんなで知恵を出し合えば、きっと解けるはずです。
そして、このような姿勢は、やがて組織全体に広がっていきます。一つのチームから始まった良い習慣が、他のチームにも伝播し、最終的には会社全体の文化になっていくのです。これこそが、「風火家人」が教える「内から外へ」の原理なのです。
最後に、もう一度強調しておきたいことがあります。それは、すべては自分自身から始まるということです。皆さんが将来リーダーになったとき、まず自分自身を磨き、自分の「家」(つまり、身近な環境)を整えることから始めてください。そうすることで、自然と周りの人々にも良い影響を与えることができるでしょう。
易経の教えは、何千年も前に生まれたものですが、現代社会にも十分に通用する深い知恵が詰まっています。「風火家人」の教えを胸に刻み、これからの人生を歩んでいってください。きっと、皆さんなりの素晴らしいリーダーシップを発揮できるはずです。
最後に、私からのアドバイスです。日々の生活の中で、家族や身近な人々との関係性を大切にしてください。些細なことかもしれませんが、「ありがとう」や「お疲れさま」といった言葉を忘れずにかけることも大切です。また、時には家族や友人と一緒に食事をしたり、お茶を飲んだりしながら、ゆっくりと話をする時間を持ってみてください。そういった小さな積み重ねが、やがて大きな変化をもたらすのです。
参考出典
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