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まいにち易経_0921【無言の勝利:言葉に頼らず困難を乗り越える方法】言うことあれど、信ぜられずとは、口を尚べば乃ち窮するなり。[47䷮澤水困:彖伝]
彖曰。困。剛揜也。險以説。困而不失其所亨。其唯君子乎。貞大人吉。以剛中也。有言不信。尚口乃窮也。
彖に曰く、困は剛揜わるるなり。険にして以て説ぶ。困しみてその亨るところを失わざるは、それ唯だ君子のみか。貞し、大人は吉なりは、剛中なるを以てなり。言うことあるも信じぜられずは、口を尚べば|乃ち窮するなり。
彖伝における「困」は、困難に直面しながらも内面の強さを保ち、その中で道徳的に正しい道を歩むことを説く。困難な状況にあっても、心の平静を保ちながら喜びを見出すことができるのは、徳のある人物のみであり、このような人物は困難を乗り越え、最終的に吉を得るとされる。正しい行いを続けることで運が開けるのは、強さと誠実さが調和しているからである。
また、言葉だけでは信頼を得られず、言動が一致しない場合、信用を失うことを戒めている。行動を伴わない空虚な言葉は、結果的に自己を困難に追い込むことになると示唆している。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
「沢水困」という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか? 「困った」とか「苦しい」といった負のイメージかもしれません。確かに、この卦は人生の困難な時期を表しています。でも、それは同時に成長の機会でもあるのです。
まず、「困」という字をよく見てみましょう。木が囲いの中に閉じ込められているように見えませんか? これは、まさに私たちが困難な状況に直面した時の姿を表しています。行き詰まって、どうしていいかわからない。そんな経験は、皆さんにもあるのではないでしょうか。
例えば、新しいプロジェクトを任されたけれど、うまくいかない。チームメンバーとの関係もぎくしゃくしている。そんな時、どうしますか? 多くの人は、必死に言い訳をしたり、問題を隠そうとしたりするかもしれません。でも、「沢水困」の教えは、そうではないのです。
この卦が教えてくれるのは、困難な時こそ、沈黙の力を信じることです。言葉を尽くして説明しようとするほど、状況は悪化することがあります。特に、信頼を失っている状況では、どんなに正しいことを言っても、相手には届かないのです。
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
まず、状況を冷静に受け入れることから始めましょう。困難に直面したとき、多くの人は現実から目を背けたくなります。でも、それでは何も解決しません。「今、自分は困難な状況にある」と認識することが、最初の一歩です。
次に、内省の時間を持ちましょう。沈黙は、自分自身と向き合う絶好の機会です。なぜこの状況に陥ったのか、どこに問題があったのか、冷静に分析する時間を持つのです。この過程で、自分の弱点や改善点が見えてくるかもしれません。
そして、行動に移る前に、十分な準備をすることが大切です。言葉を発する前に、まず自分の行動で示すのです。例えば、チームの信頼を失っている状況なら、黙々と仕事に取り組み、結果を出すことで信頼を取り戻すことができるかもしれません。
ここで注意したいのは、「沈黙」と「逃避」は違うということです。問題から逃げるのではなく、適切な時期に適切な行動を取るための準備期間として沈黙の時を使うのです。
また、困難な時期こそ、自己啓発の機会だと捉えることも大切です。例えば、仕事がうまくいかない時期には、新しいスキルを身につけるために時間を使うことができます。今は苦しくても、それが将来の糧になる可能性があるのです。
「沢水困」の教えは、ビジネスの世界だけでなく、私生活にも当てはまります。人間関係で行き詰まった時、すぐに言い訳や弁解をするのではなく、一度立ち止まって考える。そして、言葉ではなく行動で示す。これは、長期的な信頼関係を築く上で非常に重要です。
ここで、禅の教えを一つ紹介しましょう。「行雲流水」という言葉があります。これは、雲がゆったりと流れ、水が滞ることなく流れていくさまを表しています。困難な状況にあっても、雲や水のようにゆったりと、でも確実に前に進んでいく。そんな心構えが大切なのです。
また、困難な時期を乗り越えた後の成長は、想像以上に大きいものです。苦しい経験は、皆さんを一回り大きな人間に成長させてくれるでしょう。そして、その経験は必ず、将来のリーダーとしての糧になるはずです。
最後に、「沢水困」の教えは決して消極的なものではないということを強調しておきたいと思います。沈黙し、内省することは、次の飛躍のための準備なのです。まるで、弓を引くときに一度後ろに引くようなものです。それは、より遠くへ、より強く矢を放つための準備なのです。
参考出典
困苦の時の対処
沢水困の卦は困窮する時を説き、易経四大難卦の一つに数えられる。「困」の字は、囲いの中にある木。行き詰まって困り、苦しみ悩むことを意味する。
困窮した時は言うことを信じてもらえない。弁解や虚偽はもちろん、正しい内容であっても、弁舌で難を逃れようとすると、ますます行き詰まる。こういう時は、口を閉ざし、沈黙しているほうがいい。
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