![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149201847/rectangle_large_type_2_289c1c2a48dce0d97f64192a6d466dab.png?width=1200)
まいにち易経_1014【童観から真の洞察力へ】童観は、小人の道なり。[20䷓風地観:初六]
初六。童觀。小人无咎。君子吝。 象曰。初六童觀。小人道也。
初六は、童観す。小人は咎なし。君子は吝。 象に曰く、初六童観は、小人の道なり。
「童観」とは、幼稚で浅い視点で物事を見ることを指す。一般の無知な人々にとっては問題ないが、責任を持つ君子にとっては恥ずかしいことである。狭い視野にとらわれるのは小人物の特徴であり、君子は広い見識を持たなければならない。君子が未熟な見方をすれば、社会や国家に悪影響を及ぼす可能性がある。現代でも、何かを成し遂げたい人は、浅い理解にとどまらず、物事を深く考える必要がある。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
「童観」これは、子どものような見方、つまり表面的な観察を意味します。皆さんも、小さい頃を思い出してみてください。周りで起こっていることを単純に見ているだけで、その奥にある意味や人々の気持ちまでは理解できなかったのではないでしょうか。例えば、幼い頃に家族の会話を聞いていて、言葉は理解できても、その裏にある感情や意図までは分からなかった経験はありませんか?これが「童観」の一例です。しかし、組織のリーダーとなる皆さんには、もっと深い洞察力が求められます。単に表面的な事実を見るだけでなく、その奥にある意味や人々の心理を理解する能力が必要なのです。
リーダーとしての洞察力を磨くために、私が若い頃に経験したエピソードをお話ししましょう。私が新入社員だった頃、ある重要な会議に同席する機会がありました。その会議で、ベテランの役員たちが激しい議論を交わしていました。当時の私には、彼らが何を議論しているのか、表面的にしか理解できませんでした。しかし、上司が会議後に私にこう言ったのです。
「彼らの言葉だけでなく、表情や声のトーンにも注目しなさい。そこに本当の意図が隠れているんだ。」
この言葉をきっかけに、私は人々の言動の奥にある真意を読み取ることの重要性を学びました。これこそが、「童観」から脱却し、真の「観」を身につける第一歩だったのです。
では、どうすれば洞察力を磨くことができるでしょうか?私なりのアドバイスをいくつか挙げてみましょう。
多様な経験を積む:
様々な状況や人々と接することで、物事を多角的に見る力が養われます。例えば、異なる部署での業務経験や、海外赴任などは非常に有効です。私自身、海外赴任時に文化の違いに戸惑いながらも、そこから新しい視点を得ることができました。読書の習慣をつける:
小説や歴史書、哲学書など、幅広いジャンルの本を読むことで、様々な考え方や世界観に触れることができます。私は特に、歴史書から多くを学びました。過去の偉大なリーダーたちの決断や、その背景にある思考プロセスを学ぶことで、現代のビジネスにも応用できる洞察力を養うことができたのです。人々の話をよく聴く:
周りの人々、特に経験豊富な先輩たちの話に耳を傾けることは非常に重要です。彼らの経験談や助言の中に、貴重な洞察が隠れていることがあります。私も若い頃、先輩たちのなんげない一言から、重要なビジネスのヒントを得たことが何度もありました。自己反省の時間を持つ:
日々の出来事や自分の行動を振り返る時間を持つことで、自分自身への理解が深まり、ひいては他者や状況への洞察力も高まります。私は毎晩、その日あったことを日記に書く習慣がありますが、これが自己成長に大いに役立ちました。メンターを見つける:
経験豊富な先輩や上司をメンターとして、定期的にアドバイスを求めることも効果的です。私自身、若い頃に素晴らしいメンターに恵まれ、その方から洞察力の重要性を学びました。失敗から学ぶ:
失敗は最大の教師です。失敗を恐れずに積極的にチャレンジし、そこから学ぶ姿勢が重要です。私も数々の失敗を経験しましたが、それぞれの失敗から貴重な教訓を得ることができました。瞑想やマインドフルネスの実践:
心を落ち着かせ、集中力を高める練習は、洞察力を磨く上で非常に効果的です。私は毎朝15分間の瞑想を習慣にしていますが、これにより日中の判断力や洞察力が格段に向上したと感じています。
さて、ここで皆さんに考えていただきたいことがあります。皆さんの周りで起きている出来事について、表面的な事実だけでなく、その背景にある意図や感情を考えてみてください。例えば、同僚のちょっとした行動の変化や、顧客の何気ない一言の中に、重要なメッセージが隠れているかもしれません。このような洞察力は、一朝一夕には身につきません。日々の努力と経験の積み重ねが必要です。しかし、皆さんのような将来有望な若者たちが、この「観」の力を磨くことができれば、必ずや素晴らしいリーダーになれると私は確信しています。
参考出典
童観は小人の道
「童観す」とは幼い子どもの見方をいう。今、何が起こっているかという出来事のあらましを知るだけで、その示す意味や人心を推し量ることができない。
まだ年若ければ仕方ないが、一国一城を担うような組織のリーダーが浅はかな物の見方しかできないようでは恥ずかしい。
「観」は洞察を説く卦。組織を担う者は、必ず兆しを察する洞察力をつけなくてはならないと易経は説いている。
#まいにち易経
#易経 #易学 #易占 #周易 #易 #本田濟 #易経一日一言 #竹村亞希子 #最近の学び #学び #私の学び直し #大人の学び #学び直し #四書五経 #中国古典 #安岡正篤 #人文学 #加藤大岳 #風地観