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まいにち易経_1228【時の流転が紡ぐ未来~生々流転】否終えんとすれば傾く、なんぞ長かるべけんや。[12䷋天地否:上九]
上九。傾否先否後喜。 象曰。否終則傾何可長也。
上九は、否を傾く。先には否り後には喜ぶ。 象に曰く、否終えんとすれば傾く、なんぞ長かるべけんや。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
「生々流転」という言葉は、変化し続けるこの世の中や人生のあり様を表しています。私たちの人生には、良い時もあれば、悪い時もあります。そしてその流れは、決して止まることはありません。これが、まさに「生々流転」の本質です。
皆さんがこれからリーダーとしての道を歩む中で、順風満帆な時期が訪れるでしょう。プロジェクトが順調に進み、チームが一致団結して大きな成果を上げる瞬間、それはまさに人生の「泰平の時代」です。しかし、いつまでもその状態が続くわけではありません。突然の困難や、予期しない問題が降りかかることもあります。これは、暗黒の時代である「否」の状態と呼べるでしょう。
覚えておいてほしいのは、どんなに厳しい状況にあっても、それが永遠に続くわけではないということです。今がどんなに苦しい時であっても、その状況はやがて変わり、新たな希望が見えてくるのです。これこそが「生々流転」の教えであり、リーダーとしての皆さんにとって非常に重要な考え方です。
蝉は、何年間も土の中で過ごし、その間、表に出ることはありません。しかし、土の中で成長し、時が来ると地上に出てきて、殻を破り、新たな姿に生まれ変わります。その時期は非常に短いものですが、それでも蝉は全力で生き抜きます。これも一つの「生々流転」です。長い暗黒の時代を経て、明るい未来が待っているということを象徴しています。
リーダーとしての皆さんも、暗黒の時代に直面することがあるでしょう。それは時に、自分の力ではどうにもならないような困難な状況かもしれません。会社の業績が悪化したり、チームがうまく機能しなかったり、あるいは個人的な問題に直面することもあるでしょう。しかし、そのような時こそ、自分の内にある「状況を打開しようとする力」を信じてください。私がこれまでの経験で学んだことの一つは、どんな困難な状況であっても、人間にはそれを乗り越える力が必ず備わっているということです。
皆さんが直面する「否」の時代は、いわば試練の時期です。この試練をどう乗り越えるかが、リーダーとしての真価を問われる瞬間です。そして、その試練を乗り越えた先には、必ず新たな「泰平の時代」が待っています。これを信じて、どんな状況にも冷静に対処し、次のステップへと進んでいってください。
また、「生々流転」の教えが示すもう一つの大切なポイントは、変化を恐れないことです。リーダーとして成功するためには、変化を受け入れ、それに適応する柔軟性が求められます。時には、従来のやり方を変え、新しい方法を取り入れる必要があるかもしれません。それはリスクが伴うかもしれませんが、変化を恐れずにチャレンジすることで、組織やチームは成長し、発展していくのです。
私自身、長い経営者人生の中で何度も大きな変化を経験してきました。経済の変動や技術革新、新しい市場の出現など、常に環境は変わり続けています。しかし、その変化を前向きに捉え、適応していくことで、企業も私自身も成長することができました。このように、変化は必ずしも恐れるべきものではなく、新たなチャンスを生む源泉なのです。
最後に、皆さんにお伝えしたいのは、リーダーとしての道は決して平坦ではないということです。しかし、その道のりは、必ず皆さんを成長させ、より強く、より賢明なリーダーへと導いてくれるでしょう。困難な時期も、充実した時期も、すべては「生々流転」という大きな流れの中にあります。その流れを受け入れ、前向きに歩んでいくことが、リーダーとしての成功への鍵です。
これからの皆さんの道のりには、多くのチャレンジとともに、数え切れないほどの成長の機会が待っているでしょう。どんな時も、自分を信じ、変化を恐れずに進んでいってください。そして、皆さんがリーダーとして輝かしい未来を築いていくことを心から願っています。
参考出典
生々流転
人災によって来る無道の乱世、暗黒の時代である「否」も、ずっと長く続くわけではない。生々流転してひとときも止まらないのが自然の摂理である。良い時もあれば、悪い時もあるように、時は絶えず循環している。
それゆえに、人情の通じない絶望的な状態であっても、状況を打開しようという力が必ず生じ、否の時代は必ず泰平の時代に向かって回復していくのである。
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