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まいにち易経_0909【時を誤れば全てが狂う:雷沢帰妹の戒め】帰妹は征けば凶なり。利ろしきところなし。彖に曰く、帰妹は天地の大義なり。天地交わらざれば万物興らず。[54䷵雷澤帰妹:卦辞・彖伝]

歸妹。征凶。无攸利。

歸妹きまいは、征けば凶。利するところなし。

彖曰。歸妹。天地之大義也。天地不交而萬物不興。

彖に曰く、歸妹は天地の大義なり。天地交わらざれば、万物おこらず。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

まず、雷澤帰妹の「雷」は雷、「澤」は湖を意味します。雷が湖の上で鳴り響く姿をイメージしてみてください。この情景は、嫁入りの時期や順序を示しており、それが適切でないと問題が起きることを示唆しています。女性が嫁ぐということは、天地が交わるように、自然な流れです。天地が交わらなければ万物が育たないように、男女が交わらなければ子孫も繁栄しません。

しかし、ここで重要なのは、そのタイミングです。皆さんがリーダーとして成長していく過程でも、この「タイミング」の重要性を感じることがあるでしょう。例えば、プロジェクトを立ち上げる時や、チームメンバーを増やす時、新しい戦略を導入する時など、何事にも適切なタイミングがあります。そのタイミングを誤ると、良い結果を期待していても、後に問題が生じることがあります。

この「雷澤帰妹」は、嫁入りという具体的な例を通して、時期や順序の大切さを教えています。これは私たちの日常生活やビジネスにも通じる教えです。例えば、新製品の発売タイミングを誤ると、市場のニーズに合わず、せっかくの良い製品が売れなくなることがあります。逆に、適切なタイミングで発売すれば、大きな成功を収めることができるでしょう。

また、皆さんのリーダーシップにも関わる話です。チームをまとめる時や、新しいアイデアを導入する時、そのタイミングを見極めることが重要です。例えば、チームが疲れている時に新しいプロジェクトを始めるのは避けたほうがいいでしょう。そのような時は、まずはチームの休息とリフレッシュを優先し、その後で新しい挑戦に取り組む方が効果的です。

古代中国では、嫁入りの時期を選ぶ際に占いを利用することが一般的でした。これは、家庭の繁栄や幸せを願うための一つの方法でした。占いで吉日を選び、その日に嫁入りをすることで、良い結果を期待したのです。現代でも、大事なイベントやビジネスの開始時期を占いや星占いで決めることがありますね。

農業においても、種をまく時期や収穫する時期は非常に重要です。適切な時期に種をまけば、豊かな収穫が期待できますが、時期を誤ると収穫が減ってしまうことがあります。同様に、皆さんがリーダーとして意思決定をする時も、その決断のタイミングが成果を左右するのです。

私自身の経験から言えば、大企業の経営者として多くの決断をしてきました。その中で、最も重要だと感じたのは、タイミングを見極める力です。例えば、新しい市場に参入する時や、新製品を開発する時、そのタイミングが適切であれば大きな成功を収めることができます。逆に、タイミングを誤ると、多くのリソースを投入しても成果が出ないこともあります。

皆さんが将来のリーダーとして成長していく中で、この「タイミング」の重要性を常に意識してほしいと思います。決断を下す際には、その時期や順序が適切かどうかをよく考え、慎重に判断することが求められます。雷澤帰妹の教えは、私たちにその重要性を再認識させてくれる貴重な教えです。

最後に、この教えを胸に刻んでください。どんなに良いアイデアや計画があっても、その実行のタイミングが適切でなければ、成果を上げることは難しいです。逆に、適切なタイミングで実行すれば、大きな成功を収めることができるでしょう。皆さんが将来、リーダーとして多くの人々を導く時、そのタイミングを見極める力を持ち、成功へと導いてほしいと思います。


参考出典

時を誤るな
雷沢帰妹の卦は女性が嫁ぐ時を説く。その順序を違えると、吉事きちじであっても、悪い結果になると教えている。
本来、女性が嫁ぐのは自然な流れである。天地が交わらなければ万物が育たないように、男女も交わって子孫が繁栄する。しかし、その時を誤れば、何事も後に必ず弊害が起きるのである。

易経一日一言/竹村亞希子

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