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まいにち易経_0111【毎日の易経:日々の変化を洞察する力を鍛える】易の書たるや遠ざくべからず。[繋辞下伝:第八章]

易之爲書也不可遠。爲道也屢遷。變動不居。周流六虚。上下无常。剛柔相易。不可爲典要。唯變所適。

易の書たるや遠くすべからず。道たるや屢々しばしばうつる。変動して居らず、六虚りくきょ周流しゅうりゅうす。上下つね無く、剛柔相ごうじゅうあかわる。典要てんようを為すべからず、へんところのままにす。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

今日は、皆さんに「易経」という古代の知恵についてお話ししたいと思います。易経は約3000年前の中国で編纂された書物で、時の流れや変化の法則について説かれたものです。ひとまず、易経とは「変化をどう捉え、どう対処するか」を学ぶための書物だと理解してもらえるといいでしょう。

では、なぜ変化が重要なのでしょうか?それは、私たちの生活が常に変わり続けているからです。何もかもが動いていて、昨日と同じ一日は決して存在しません。会社の状況も、社会の流れも、人間関係も、全てが変わり続けている。その変化を無視して過ごすことは、時に危険ですらあるのです。

私自身、経営者として様々な局面に立たされました。その中で感じたのは、「変わることの怖さ」と「変わらないことの怖さ」です。企業が成長している時、私たちはしばしば「今のやり方を続けていればうまくいく」と考えがちです。しかし、実際はそうではありません。時代の変化に合わせて適切に対応しないと、成功も一瞬で過去のものになってしまいます。

易経では、変化の法則を理解し、それを日常生活に取り入れることが勧められています。例えば、毎朝少しずつ易経を読むことで、日々の出来事や自分自身に関する洞察力が養われていくとされています。そして、何よりも大事なのは、その知識をただ頭に入れるだけではなく、実際の行動に移すことです。

ここで、易経の教えを簡単に例えてみましょう。皆さんが自分の会社を大きな船と考えてみてください。海は市場で、天気は経済環境だとしましょう。晴天の日が続くと、航海は順調に進み、皆さんも安心しているかもしれません。しかし、突然の嵐がやってきた時、どう対応すればいいでしょうか?易経は、そんな時にどうすべきかを教えてくれるものです。

嵐が来る前に、天気の変化に敏感になり、舵をどう切るべきか、どう船を守るべきかを考えることが重要です。つまり、変化を察知し、適応する力を養うということです。これは、企業経営だけでなく、皆さんの日常生活にも当てはまる教えです。

易経のもう一つの大切な教えは「柔軟性」です。固く、頑固なものは折れやすい。例えば、強風に晒された木を思い浮かべてください。枝がしなやかに揺れる木は、その風を受け流し、耐え抜くことができます。一方で、固く動かない木は、最終的には折れてしまうかもしれません。皆さんも、リーダーとして、この柔軟性を持つことが大切です。

また、易経は「変化を楽しむ心」を持つことも教えています。変化に対する不安や恐れは自然な感情ですが、それを克服し、変化を機会として捉えることができれば、大きな成長が待っています。ここで少し雑学を交えてお話ししましょう。日本の「風林火山」という言葉をご存知でしょうか?これは戦国時代の武将、武田信玄が用いた軍旗に記された言葉で、「風の如く動き、林の如く静まり、火の如く攻め、山の如く守る」という意味です。この中には、変化に対する柔軟な対応と、変化の中での揺るがない信念が込められているのです。

皆さんがこれから歩む道のりには、様々な挑戦が待っています。時には迷い、悩むこともあるでしょう。その時こそ、易経の教えを思い出してほしいのです。変化を恐れず、柔軟に対応し、成長の機会として捉えることで、皆さんは必ずやリーダーとしての資質を発揮できるはずです。


参考出典

易経の用い方
変化の法則性を説く易経は日常に用いる書である。時は常に変化し、物事は日々変わっていく。その日常の中で、毎日少しずつ読むことが大切である。すると、自分に関係ないことは一つも書かれていないことに気づく。
自分自身や世間の出来事とすり合わせて易経を読むことで、変化の原理を洞察する力が鍛えられる。そして何よりも、教えを実践してみることで効力を実感できる。

易経一日一言/竹村亞希子

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