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まいにち易経_0728【素直な心・広い視野・大きな志】直方大なり。習わずして利ろしからざるなし。[02䷁坤為地:六二]

六二。直方大。不習无不利。

六二は、直方大ちょくほうだいなり。習わざれども利あらざるなし。

正直、端正、広大であり、修習する必要はなく、すべてにおいて有利である。

直方大:大地の特徴を表している。古人は「天円地方」天はまるく、地は方形であると考えた。天道が剛健なら、地道は「直方大」。「直」は正直、誠実の意味、「方」は方正を表し、「大」は包容を意味する。
習わざれども:「習」は修習または修治を指し、「習わず」は敢えて修習や修治する必要がなく、自然のままでよいということ。
利あらざるなし:不利なことがないという意味。


ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

「直」という言葉は、素直、実直、そして真っ直ぐに進むことを意味します。
「方」は正方形のように整っていることを表し、東西南北、四方八方に広がる様子を示します。
「大」は、広く大きく、遍く盛大であることを意味します。
これらを合わせた「直方大」は、天の意志に従い、万物を受け入れて育成する「地」の徳を表しています。

教えられたことを私情や理屈で曲げずに、素直に受け入れて実践できる人は、知恵の一滴を与えられただけでも、自然と広大に成長していくという意味です。
これは、正しい姿勢で学び続けることで、人は無限の可能性を秘めているという教えでもあります。

この考え方は、学びにおける謙虚さと受容性の重要性を強調しています。例えば、植物がどんなに小さな種であっても、適切な環境で育つと大きく成長するように、人間も正しい心持ちで学ぶことによって、大きく成長することができるのです。これは、知識や知恵を受け入れる姿勢が、自己成長の鍵であることを教えてくれます。

「直方大」の概念は、古代から多くの賢人たちが説いてきた深遠な思想です。この哲学をより身近に感じるために、ちょっと面白い例え話をしてみましょう。

ある村に、知恵者として知られる老人がいました。彼は村人たちに「直方大」の教えを説き、その重要性を語っていました。村人たちはその教えを聞いても、具体的にどう生きればいいのか分からずにいました。ある日、老人は村人たちを集めてこう言いました。「今日は特別な種を配ります。この種を育ててみなさい。」

村人たちは老人から小さな種を受け取りました。その種はとても小さく、目立たないものでした。しかし、老人は「この種は特別なもので、正しい心持ちで育てれば大きな木になる」と言いました。村人たちはその言葉を信じ、それぞれの方法で種を育て始めました。

村には様々な反応がありました。ある者は疑いながらも忠実に水をやり、ある者は面倒くさがって適当に扱いました。しかし、中には素直に老人の教えを信じ、種を大切に育てた者もいました。彼らは毎日水をやり、適切な陽光を与え、時には話しかけたりもしました。

数ヶ月が経ったある日、老人は再び村人たちを集めました。彼は各々の種がどう育ったかを見たいと言いました。適当に育てた者たちの種はほとんど芽を出しておらず、半信半疑で育てた者たちの種もあまり成長していませんでした。しかし、素直に教えを信じて育てた者たちの種は、大きな木へと成長していました。老人はその光景を見て微笑み、村人たちに言いました。「この木を見てください。教えを素直に受け入れ、実直に実践することで、こんなにも大きく育つのです。」

この話は、「直方大」の教えが如何に重要であるかを示しています。私情や理屈で曲げずに教えを受け入れ、実直に実践することで、人は無限の可能性を秘めた成長を遂げることができるのです。まるで、適切な環境と心持ちで育てられた種が大きな木へと成長するように。

このエピソードを通して、私たちは「直方大」の教えを日常生活に取り入れ、素直な心で学び続けることの重要性を理解することができます。知恵や知識を受け入れる姿勢が、自分自身の成長を促進し、広大な可能性を開く鍵であるのです。


参考出典

「直」は、素直、実直、真つ直ぐに進む。「方」は正方形の意で、方正、また東西南北、四方八方に広がる様子。「大」は遍く盛大に。直方大は天に従い、万物を受容して遍く育成する「地」の徳である。
教えられたことを私情や理屈で曲げずに、素直に受け入れて実践できる人は、知恵の一滴を与えられただけでも、習わずとも広大に伸びていく、といっている。

易経一日一言/竹村亞希子

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