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まいにち易経_0824【リスクマネジメント】臨は元いに亨りて貞しきに利ろし。八月に至れば凶あらん。[19䷒地澤臨:卦辞]

臨。元亨利貞。至于八月有凶。

臨は、おおいにとおただしきにあり。八月に至りて凶あり。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

この卦は、新しいスタートの時期、まさに旧暦の十二月、新暦の一月を象徴しています。皆さんが新しいプロジェクトやビジネスを始める時期にぴったりの卦です。この時期は陽気が大いに伸びていく、つまり、物事が順調に進んでいる時期です。これはとても喜ばしいことです。しかし、ここで注意してほしいのが、「八月に至れば凶あり」という部分です。

これはどういうことかというと、物事が順調に進んでいる時こそ、やがて訪れる衰退に備えるべきだということです。リスク管理の重要性を説いているのです。皆さんがこれから新しい挑戦を始めるとき、成功に向かって突き進むのは素晴らしいことですが、同時にリスクにも備えておくことが必要です。

例えば、歴史的な例を挙げてみましょう。ナポレオン・ボナパルトは、ヨーロッパ全土を制覇するほどの勢いを持っていましたが、ロシア遠征という大きなリスクを取った結果、敗北し、最終的には彼の帝国は崩壊しました。彼は成功の絶頂期にあったにもかかわらず、その後の危機に対する備えが足りなかったのです。

現代でも、リーダーとして成功している企業家や経営者たちは、この教訓をしっかりと理解しています。例えば、Appleの創業者スティーブ・ジョブズは、新しい製品を開発し続ける一方で、市場の変化や競争相手の動向にも常に注意を払っていました。彼の成功は、単に革新的なアイデアを持っていたからだけではなく、リスク管理を徹底していたからでもあります。

もう一つ興味深い例を挙げましょう。皆さんは、タタ・グループというインドの巨大企業をご存知でしょうか?タタ・グループは、鉄鋼、自動車、電力、ITなど様々な分野で活躍していますが、その成功の裏には常にリスク管理があります。彼らは新しい事業を始める際には、必ずリスク評価を行い、予想される問題に対する対策を講じています。その結果、タタ・グループは多くの困難を乗り越え、成長し続けています。

皆さんも、これからリーダーとして成長していく過程で、この教訓を忘れないでください。物事が順調に進んでいるときこそ、未来のリスクに備えて計画を立てることが重要です。例えば、新しいビジネスを始める際には、市場の動向や競争相手の動きを常に監視し、予想されるリスクに対する対策を事前に考えておくことが必要です。

また、リーダーとしての成長には、柔軟性と適応力も重要です。成功している間に自分の方法や考え方に固執せず、変化に対応できる柔軟な姿勢を持つことが求められます。これは、逆境に直面したときに乗り越える力となります。

最後に、皆さんに一つの具体的なアドバイスを送りたいと思います。それは、「常に学び続けること」です。成功している間も、新しい知識やスキルを積極的に学び続けることが重要です。これにより、将来のリスクに対する備えができるだけでなく、新しいチャンスを見つける力も養われます。


参考出典

危機に備える
地沢臨は旧暦の十二月、新暦の一月に配当されている卦。これから新しく陽気が大いに伸びゆく時期である。しかし、陽気が盛んになれば、やがて衰える。それが「八月に至れば凶あらん」ということ。
これは危機管理についていっている言葉。これから伸びゆこうとする時に、すでに衰退に備えておかなくてはならないということ。何かあってから対処するのでは遅すぎる。

易経一日一言/竹村亞希子

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