まいにち易経_0519【どっしり構え、ゆっくりと進む】止まって巽う、動きて窮まらざるなり。[53䷴風山漸:彖伝]
彖曰。漸之進也。女歸吉也。進得位。往有功也。進以正。可以正邦也。其位。剛得中也。止而巽。動不窮也。
彖に曰く、漸(ぜん)の進むや、女(じょ)の帰(とつぐ)ぐに吉なり。進んで位を得(う)、往(ゆ)きて功あるなり。進むに正(せい)を以てす、以て邦(くに)を正すべきなり。其の位、剛にして中(ちゅう)を得るなり。止(とど)まって巽(したが)う、動きて窮(きわ)まらざるなり。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
私も若い頃は、皆さんと同じように夢と希望に満ちていました。しかし、人生を歩んでいく中で、さまざまな困難や挫折に直面しました。それらの経験から学んだことを、今日は皆さんにお伝えしたいと思います。
私は長年、企業の経営に携わってきた経験から、人生の道行きは決して一直線ではないことを学びました。時に山あり谷あり、そのたびに止まって立ち止まり、状況を冷静に見渡すことが大切なのです。
『風山漸』の卦は、そんな生き方を教えてくれています。簡単に言えば「じっくり時間をかけて着実に前に進め」ということですね。
自分から先に進もうと焦るのではなく、まずは落ち着いて冷静に構え、環境や状況をよく観察し、それに合わせて無理なく進むことが大切です。
けっして焦らず、まるで止まっているかのようにゆっくりと進むことが大切です。例えるなら、大木は一朝一夕には育ちません。種から芽を出し、少しずつ養分を吸収しながら、確実に大きくなっていくのです。それと同じように、私たち人間も焦らずゆっくりと着実に力をつけていく必要があるのです。
「女(じょ)の帰(とつぐ)ぐに吉なり」これは、結婚が人生の大きな変化であり、新しい環境に順応しながら進むべきことを象徴しています。同様に、皆さんも新しい挑戦や役割に直面したときには、無理をせず、ゆっくりと進むことが大切です。
「進むに正(せい)を以てす、以て邦(くに)を正すべきなり」これは、正しい道を進むことで、最終的には国を正すことができるという意味です。皆さんがリーダーとして進むべき道は、常に正しい道であるべきです。どんなに困難な状況でも、正直さと誠実さを持って進んでください。
具体的な例を挙げると、企業の経営者としての私の経験をお話ししましょう。私が経営していた会社は、一度大きな危機に直面しました。その時、急いで解決策を見つけようとするのではなく、社員一人ひとりの意見を聞き、慎重に状況を分析しました。その結果、社員全員が協力して問題を解決することができ、会社は再び成長軌道に乗りました。この経験からも、ゆっくりと進むことの大切さを実感しました。
また、「止(とど)まって巽(したが)う、動きて窮(きわ)まらざるなり」という言葉があります。これは、止まっているように見えても、実は着実に進んでいる状態を意味します。皆さんも、時には立ち止まって考える時間が必要です。急いで進むことだけが成功への道ではありません。立ち止まって深く考え、次の一歩を慎重に選ぶことで、より良い結果を得ることができます。
どんなに困難な状況でも、焦らずにゆっくりと進むことの大切さです。大樹がゆっくりと成長するように、皆さんも時間をかけて確実に成長してください。そして、常に正しい道を進み、誠実さを忘れずにリーダーシップを発揮してほしいと思います。
参考出典
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