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まいにち易経_1104【驕りの罠を避ける:賢明なリーダーシップへの道】貴くして位なく、高くして民なく、賢人下位にあるも輔くるなし。[01䷀乾為天/文言伝:第二節(人事)上九]

上九曰、亢龍有悔、何謂也。子曰、貴而无位。高而无民。賢人在下位而无輔。是以動而有悔也。

上九に曰く、亢龍悔こうりゅうくいありとは、何の謂いぞや。 子曰く、たっとくして位なく、高くして民なく、賢人下位にあるもたすくるなし。ここをもって動けば悔あるなり。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

私たちがリーダーの位置に立つとき、その役割の重みと責任を感じる一方で、成功の甘い誘惑も同時に襲ってきます。成功が続くと自信が芽生え、さらに成長を促す原動力となりますが、その自信がやがて驕りに変わる危険性があるのです。

人の意見を聞く耳を持つことの大切さ
どんなに優れたリーダーでも、常に他者の意見に耳を傾けることが大切です。古代中国の賢者たちは「驕りが出てくると、人の意見を聞かなくなる」と教えました。これは、現代においても変わらぬ真理です。例えば、大企業のトップが周囲の助言を無視し、自分の考えだけで突き進むと、やがて判断力を失い、企業全体が危機に陥ることがあります。これは、過去に多くの企業が経験してきた教訓です。

歴史から学ぶ教訓
歴史を振り返ってみると、多くのリーダーがこの罠に陥っています。例えば、古代ローマの皇帝ネロは初めは賢明な統治者とされていましたが、次第に独裁的になり、最終的には自分の意見だけを重視するようになりました。その結果、彼の統治は混乱と反乱を招き、最終的には自殺に追い込まれました。このような例は、現代のリーダーにとっても貴重な教訓となります。

自己中心的なリーダーシップの危険性
自己中心的なリーダーシップは、チームや組織全体の士気を低下させます。例えば、あるプロジェクトでリーダーが自分の意見だけを押し通し、他のメンバーの意見を無視すると、メンバーは次第に意欲を失い、協力する意欲も薄れてしまいます。これでは、プロジェクトの成功はおろか、組織全体のパフォーマンスも低下してしまいます。

賢明なリーダーシップとは
賢明なリーダーは、自分の意見を持ちながらも、他者の意見を尊重し、耳を傾ける姿勢を持っています。例えば、スティーブ・ジョブズは強烈なビジョンを持ちながらも、周囲の意見を取り入れる柔軟性を持っていました。彼は時には厳しく、時には優しく、状況に応じて最適な判断を下すことができました。このようなリーダーシップが、アップルの成功を支えたのです。

孔子の教え
孔子は「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という言葉を残しています。これは、賢明なリーダーは他者と調和しながらも独自の見解を持ち、一方で愚かなリーダーは他者に迎合するだけで、真の協力を得られないという意味です。この教えは、現代のリーダーシップにも通じるものがあります。

驕りは失脚の兆しであり、リーダーとしての成功を継続するためには、常に謙虚な姿勢を持ち続けることが重要です。人の意見を尊重し、自分の判断力を過信せず、常に学び続ける姿勢が求められます。皆さんが将来のリーダーとして、周囲の信頼を得て、成功を収めることを心から願っています。


参考出典

驕りは失脚の兆し
どんなに優れた人でもトップの座に長くいると必ず驕りが出てくる。
社会的リーダーが失脚する兆候として表れるのが、人の意見を聞かなくなること。いくら賢い部下がいて、意見しようとも耳を傾けなくなり、そのうちに自己中心的になって正しい判断力を失う。
そうなると人はついて来なくなり、リーダーとは名ばかりになってしまう。

易経一日一言/竹村亞希子

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