見出し画像

まいにち易経_1103【謙虚なる力:『天下の先とならず』に学ぶ21世紀型リーダーシップ】天徳首たるべからざるなり。[01䷀乾為天:象伝用九]

潜龍勿用、陽在下也。見龍在田、徳施普也。終日乾乾、反復道也。或躍在淵、進无咎也。飛龍在天、大人造也。亢龍有悔、盈不可久也。用九、天徳不可爲首也。

潜龍用うるなかれとは、陽にしてしもに在ればなり。見龍でんに在りとは、徳の施しあまねきなり。終日乾乾すとは、道を反復するなり。あるいは躍りて淵に在りとは、進むも咎なきなり。飛龍天に在りとは、大人の造なるなり。亢龍悔ありとは、盈つれば久しかるべからざるなり。用九は、天徳しゅたるべからざるなり。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

乾為天の象伝用九は、「人を導くリーダーは、自分の才能をひけらかしてはいけない」という教えです。自分の手柄を誇示するのではなく、他の人々の才能を引き出し、育てることが重要だということです。

老子の教えにも同じことが言われています。
老子は「三宝の徳」という概念の中で、「敢て天下の先とならず」という言葉を使っています。これは「決して先頭に立って自分をアピールしようとしない」という意味です。優れたリーダーは、自分が前に出るのではなく、他の人々を前に押し出すことを大切にします。

この考え方は、現代のビジネスやリーダーシップにも非常に重要です。例えば、大企業の経営者である私が経験したことからも言えることです。成功したプロジェクトの背後には、いつも優れたチームがあります。そのチームのメンバー一人ひとりが自分の能力を最大限に発揮できるようにすることが、リーダーの役割です。リーダーが前に出てすべてを引っ張るのではなく、他の人々が自分の力を発揮できるような環境を作り出すことが大切です。

一つ具体的な例を挙げてみましょう。あるプロジェクトで、チームメンバーの一人が非常に優れたアイデアを出しました。そのアイデアがプロジェクトの成功に大きく貢献しました。しかし、そのメンバーは自分のアイデアを前面に出すのをためらっていました。ここでリーダーとして私がすべきことは、そのメンバーを励まし、そのアイデアを全チームで共有し、実行するサポートをすることでした。結果的に、そのプロジェクトは大成功を収め、そのメンバーも自信を持つことができました。

このように、リーダーシップとは自分が目立つことではなく、他の人々を輝かせることです。自分の才能や手柄をひけらかすのではなく、チーム全体の力を引き出すことが重要です。これは皆さんが将来リーダーとして成長していく上で、とても大切な考え方です。

また、歴史上の偉大なリーダーたちも同じような哲学を持っていました。例えば、ナポレオン・ボナパルトは、自分の軍隊の将校たちに大きな信頼を置きました。彼は部下たちに自主性を持たせ、彼らの意見やアイデアを尊重しました。これにより、彼の軍隊は非常に強力な組織となり、多くの戦いで勝利を収めることができました。

このように、リーダーシップの本質は他人の力を引き出し、育てることにあります。自分が前に出るのではなく、他の人々が前に出るのをサポートすることが、真のリーダーの役割です。

最後に、皆さんに考えてほしいことがあります。自分がリーダーになったとき、どのようにして他の人々をサポートし、彼らの才能を引き出すことができるでしょうか?この問いを常に心に留めておくことで、皆さんはより良いリーダーになることができるでしょう。

今日は『乾為天』象伝用九の教えを通じて、リーダーシップの本質について考えてみました。皆さんが将来のリーダーとして成長し、多くの人々に良い影響を与えることを心から願っています。ありがとうございました。


参考出典

天下の先とならず
人を導くリーダーは、いくら自分の才能があってもそれをひけらかさず、自分のやって来たことがどんなに高く評価されても、自分の手柄にして表立ってはいけない。
争って自分が先駆けとなるのでなく、人を先にし、人の才能を育てるべきである。
これは有名な『老子』の「三宝の徳」にある「敢て天下の先とならず」と同じ意味である。

易経一日一言/竹村亞希子

#まいにち易経
#易経 #易学 #易占 #周易 #易 #本田濟 #易経一日一言 #竹村亞希子 #最近の学び #学び #私の学び直し #大人の学び #学び直し #四書五経 #中国古典 #安岡正篤 #人文学 #加藤大岳 #乾為天 #用九


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集