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まいにち易経_0805【メンターに学ぶ】見龍田に在り。[01䷀乾為天:九二]

九二。見龍在田。利見大人。

九二は、見龍田けんりょうでんに在り、大人たいじんを見るに利あり。

隠れていた龍がついに姿を現し、志を実現するために人生の師を探し始める。龍の師となる大人は、高い徳を持ち、正しい判断で時局に対処できる人物である。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

『乾為天』九二は、「見龍在田。利見大人。」これを現代の言葉に訳すと、「隠れていた龍がついに姿を現し、志を実現するために人生の師を探し始め、師について学ぶ」という意味になります。この龍は何を象徴しているのでしょうか?龍とは、私たち一人一人が持っている可能性や能力を表しています。皆さんも自分の中に隠れた龍がいることを信じてください。

さて、この隠れていた龍が姿を現すというのは、自分の能力や志が表に出てくる段階を指しています。これはちょうど、新しい挑戦を始める時期と考えてもいいでしょう。ここで大切なのは、「大人」を探すということです。大人とは、、高い徳を持ち、正しい判断で時局に対処できる人物を指します。つまり、人生の師匠やメンターです。

皆さんも、新しい道を進む際には、必ずその道を既に歩んでいる人、経験豊富な人の助言を仰ぐことが重要です。例えば、新しいプロジェクトを始める時、初めてリーダーシップを取る時には、その道のプロに相談することが成功への近道です。

どんなに才能があっても、基礎がなければその才能を十分に発揮することはできません。例えば、スポーツ選手が基本のトレーニングを怠ることなく行うように、皆さんもまずは基本をしっかりと学び、それを実践することが重要です。

見龍の時代のマインドセットは、見様見真似で学ぶというのも大切なポイントです。師の行動を徹底的にコピーすることで、基礎を身につけることができます。これはまるで職人が見習いとして師匠の技を学ぶようなものです。見て、聞いて、真似て、そして自分のものにしていくのです。

では、「田」現れた龍は、「田」で何を学ぶのでしょうか?

そうですね、答えは「田の耕作」です。もちろんこれは比喩的な表現で、仕事の基本や、組織の中での振る舞い方を学ぶということです。春に種をまき、夏に水やりをし、秋に収穫する。この自然のサイクルのように、仕事にも適切なタイミングとやり方があります。それを学ぶのが、社会人としての第一歩なのです。

私の若い知り合いの経験をお話ししましょう。彼が新入社員だった頃、上司から「コピーを取ってきてくれ」と言われました。簡単な仕事だと思い、さっさと済ませて戻ってきたのです。すると上司は不機嫌な顔をして、「これじゃダメだ」と言いました。彼には理由がわかりませんでした。

そこで上司は、丁寧にコピーの取り方を教えてくれました。原稿の向きを確認すること、用紙サイズを合わせること、試し刷りをすること、ステープラーで綴じる位置まで、細かく指導してくれたのです。そのとき彼は気づいたといいます。一見単純な仕事の中にも、プロフェッショナルとしての細やかな気配りがあることを。

ここで一つの豆知識を紹介しましょう。皆さんは「ミラーニューロン」という言葉を聞いたことがありますか?脳には網様体賦活系(RAS)と呼ばれる構造があります。これは、人が他人の行動を見て、それを自分の行動に取り入れることができる神経細胞のことです。この細胞のおかげで、人は他人の行動を見て学び、成長することができるのです。ですから、師の行動をよく観察し、自分に取り入れることがいかに重要かが分かりますね。

最後に、皆さんに伝えたいことがあります。それは、自分を信じることの大切さです。見龍在田の教えは、自分の中にある可能性を信じ、それを開花させるための努力を惜しまないことを示しています。どんなに困難な道でも、自分の中の龍を信じて進んでいけば、必ず道は開けるでしょう。

皆さんが未来のリーダーとして活躍することを心から願っています。そして、その過程で多くの素晴らしい師に出会い、学び、成長していってください。ありがとうございました。


参考出典

「見龍」とは、地中に潜み隠れて、志を養った潜龍が地上の水田に表れたという段階。
「見龍」とは見て学ぶ龍、見習う龍である。何を学ぶかというと「田の耕作」を学ぶ。春夏秋冬、その時々に何をするべきかという物事の基礎を、師から学ぶのである。
基礎を学ぶ時は見様見真似に行うことが最も大切。とにかく徹底的に師のコピーに徹することによって、しっかりとした基礎を身につけなくてはいけない。

易経一日一言/竹村亞希子

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