まいにち易経_0107【無疆なる大地の包容力】坤は厚くして物を載せ、徳は无疆に合い、含弘光大にして、品物ことごとく亨る。[02䷁坤為地:彖伝]
彖曰、至哉坤元、萬物資生。乃順承天。坤厚載物、徳合无疆、含弘光大、品物咸亨。牝馬地類、行地无疆。柔順利貞、君子攸行。先迷失道、後順得常。西南得朋、乃與類行。東北喪朋、乃終有慶。安貞之吉、應地无疆。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
今日は「大地の力」について話をしましょう。「坤」という言葉、これは易経に登場する言葉で、大地や母なるものを象徴しています。この「坤」は、陰と陽の「陰」、つまり受容や育成の力を表しているんですね。これをリーダーシップにどう結びつけるかが今日のテーマです。
まず、皆さんがこれからリーダーとして直面するだろう困難や課題は、想像以上に多岐にわたるものだと思います。企業のリーダーは常に変化の渦中にあり、時にはその変化に翻弄されることもあります。しかし、その中でどのようにして人々を導き、組織を成功に導いていくか、これは一朝一夕で身につくものではありません。私自身も、試行錯誤を繰り返しながら少しずつリーダーシップを磨いてきました。
「坤」は、大地のようにすべてを受け入れ、育てる力を持っています。考えてみてください、大地はどんな種でも受け入れ、その種が育つための栄養を与えますよね。そして、時には悪天候や災害に見舞われても、それに耐えて新たな命を育む力を持っています。この「坤」の力は、リーダーシップにおいて非常に重要な要素だと私は考えています。
リーダーとしての皆さんも、これから多くの人々を受け入れ、彼らが成長できるようにサポートすることが求められます。人々が成長しやすい環境を整え、彼らが持つポテンシャルを最大限に引き出すことが、リーダーの役割の一つです。もちろん、全てが順風満帆に進むわけではないでしょう。逆境に立たされた時こそ、この「坤」の力が試される時です。周囲の人々を信じ、支え、そして共に困難を乗り越えていく姿勢が重要です。
また、「无疆」という言葉があります。これは境界がない、限りがないという意味です。大地はその広大さゆえに、どんなものでも受け入れます。同じように、リーダーとしての皆さんも、偏見や先入観にとらわれずに広い心で人々を受け入れることが求められます。様々な意見や視点を尊重し、異なる考えを受け入れることで、組織全体の力が一層強化されるのです。
私が経営者として歩んできた道のりで、特に印象に残っているのは、異なる意見を持つ社員との対話です。時には激しい議論になることもありましたが、その中で新しいアイデアが生まれたり、予想外の解決策が見つかったりすることがしばしばありました。それは、私自身がリーダーとしての「坤」の力を意識し、社員たちを受け入れ、彼らの成長を支援してきたからだと思います。
例えば、私がある新しいプロジェクトを立ち上げたときのことです。そのプロジェクトは、会社の未来を左右する重要なものでしたが、実行にあたっては多くの困難が予想されました。社内では賛否両論があり、一部の社員はリスクを恐れて反対しました。しかし、私はその反対意見を排除せず、むしろその意見を深く聞くことで、新しい視点を得ることができました。その結果、プロジェクトはより堅実な計画となり、成功へと導かれました。
このように、皆さんもこれからのリーダーシップにおいて、多くの挑戦に直面するでしょう。しかし、その挑戦を前にしても「坤」の力を忘れず、広い心で人々を受け入れ、彼らの成長を支えることで、必ずや成功をつかむことができると信じています。
最後に、皆さんに一つお願いしたいことがあります。それは、常に学び続ける姿勢を持ち続けてほしいということです。大地が常に新しい命を育て続けるように、皆さんも新しい知識や経験を積み重ね、リーダーとして成長し続けてほしいと思います。そのためには、他者の意見を受け入れる柔軟性と、自分自身を常に振り返る謙虚さが必要です。
リーダーシップは、決して一つの正解があるものではありません。皆さん一人ひとりが、自分自身のスタイルを見つけ、それを磨き上げていくことが大切です。今日お話しした「坤」の力を心に留め、これからのリーダーとしての道を歩んでいってください。きっと、皆さんなら素晴らしい未来を切り開いていけると信じています。
参考出典
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