まいにち易経_1027【明を継ぐ:日々新たに輝く】明両たび作るは離なり。大人もって明を継ぎ、四方を照らす。[30䷝離為火:象伝]
象曰。明兩作離。大人以繼明照于四方。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
まず、「明両たび作る」という言葉から始めましょう。これは、毎日太陽が昇るように、私たちの心も日々新たに輝くべきだという教えです。朝日を見たとき、新しい一日の始まりを感じ、希望に満ちるあの感覚を覚えていますか?リーダーとして、私たちもその朝日のような存在でありたいと考えています。
次に、「火」の性質について考えてみましょう。炎の外側は明るく輝いていますが、中心は暗いです。この現象はリーダーシップにも通じる深い意味を持っています。外側は周囲を照らしながらも、中心は空虚であるべきです。これは、自分の殻に閉じこもらず、新しい考えや意見を受け入れる姿勢が大切だということを示しています。
私自身、若い頃は自分の考えが全てだと思い込んでいました。しかし、さまざまな経験を重ね、多くの方々と出会う中で、自分の考えを空っぽにして他者の意見に耳を傾けることの重要性を学びました。これがまさに「火」の中心が暗いことの意味なのだと気づきました。
リーダーとして成長するためには、自分の中に「空虚」を持つことが大切だと考えています。それは自信がないということではなく、新しいアイデアや異なる視点を受け入れる余地を持つということです。例えば、チームでのプロジェクトでは、メンバーの意見を取り入れることで、より良い結果が生まれることがあります。この「空虚」があるからこそ、成長が可能になるのです。
「明を継ぐ」という言葉には、日々新たな気持ちで周りを照らし続けるという意味があります。太陽が毎日同じように昇るように、決して「また同じことの繰り返し」とは考えません。新しい気持ちで昇り、世界を照らしています。リーダーも同じく、日々の業務や人間関係において、「また同じか」ではなく、「今日は何か新しいことがあるかもしれない」という気持ちで臨むことが重要です。
もちろん、これは簡単なことではありません。しかし、だからこそ価値があります。この「日々新たな気持ち」を保つためには、小さな習慣が役立ちます。例えば、毎朝の瞑想や、一日の感謝を振り返ることで、心を新たにすることができるのです。
「明を継ぐ」ということは、自分だけが輝くことではありません。周りを照らし、チームの一人ひとりが輝けるような環境を作ることです。それは、太陽が世界を照らすように、周囲の人々の可能性を引き出すことに他なりません。
この『離為火』の教えは、現代のビジネス社会にも深く通じるものです。変化の激しい時代には固定観念にとらわれず、柔軟性を持つことが求められています。これが「火」の中心にある「空虚」の意味です。また、持続可能な発展を目指す今、次世代に何を引き継ぐかという長期的な視点を持つことの大切さも、この教えは示しています。
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