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まいにち易経_1112【ネガティブな影響を遠ざける】君子もって小人を遠ざけ、悪まずして厳なり。[33䷠天山遯:象伝]

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象曰。天下有山遯。君子以遠小人。不惡而嚴。

象に曰く、天の下に山あるは遯なり。君子以て小人を遠ざく、にくまずしてげんなり。

ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

まず「遯」という言葉の意味から触れてみましょう。「遯」とは、「逃れる」という意味です。ただし、この逃れるというのは、臆病になって逃げるのではなく、知恵を持って避けることを指しています。リーダーとして、時には難しい状況や問題を避ける、あるいは退くことが求められる場面があるでしょう。その時、どのようにして適切に避けるか、これがこの卦の教えです。

小人を遠ざける
易経には「小人」という言葉が出てきます。これは、単に悪意のある人を指すのではなく、自分のことだけを考え、全体の利益や調和を無視する人のことを指します。リーダーとしてこうした小人を遠ざける必要が出てくるかもしれません。しかし、その方法は慎重でなければなりません。
たとえば、自分が正しいと思い、その正しさを振りかざして相手を遠ざけようとすれば、かえって反感を買うことがあります。これは、火に油を注ぐようなものです。相手が反発し、かえって問題が大きくなる可能性が高いのです。
ここで大切なのは、自分自身の行動や言葉を見直すことです。自分の道をしっかりと守りながら、相手に対しては厳しく接するのではなく、自分を律する姿勢を持つことが求められます。そうすることで、小人は自然に離れていくでしょう。

賢明なリーダーの選択
リーダーシップにおいて「逃れる」という選択は、決して負けではありません。むしろ、知恵と洞察を持って状況を見極め、最適なタイミングで行動することが重要です。たとえば、歴史上の偉大なリーダーたちも、時には退くことで、後に大きな成功を収めたケースが多く見られます。
ナポレオンやアレクサンドロス大王など、彼らも戦術的な退却を選ぶことで、戦局を有利に進めたことがあります。このように、一見すると逃げているように見えても、それが最善の選択であれば、結果的に大きな勝利を得ることができるのです。

リーダーとしての心構え
天山遯の教えは、単なる逃避ではなく、自分自身の信念や道をしっかりと持ちながら、適切なタイミングで行動することの重要性を説いています。これを実践するためには、まず自分自身をよく理解し、常に客観的に状況を判断する力を養うことが必要です。

昔の武士道にも似たような考え方がありました。戦において、無謀な突進は美徳ではなく、むしろ冷静に状況を見極め、必要なときには退く勇気を持つことが求められていました。これも、リーダーとしての「遯」の精神と共通する部分があります。

皆さんがこれからリーダーシップを発揮する立場になったとき、ぜひこの「天山遯」の教えを思い出してください。強さだけでなく、柔軟さと知恵を持って、適切に行動することが、真のリーダーシップに繋がるでしょう。小人を遠ざける際も、自分の道を守りながら、相手に対して寛容であることが大切です。そうすることで、自然と周りもついてきてくれるはずです。


参考出典

小人を遠ざける
天山遯は、逃れるべき時にいかに逃れるか、その方法を説いている卦。
小人を遠ざけて逃れるためには、自分一人だけが清いなどといって相手を憎み、遠くに追いやって近づかないように避けるのでは、かえって怨まれる。
そのように人に厳しくするのは間違っている。むしろ自分の道を厳しく守るという姿勢を持って接すれば、小人は自然に遠ざかっていくものである。

易経一日一言/竹村亞希子

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