まいにち易経_1130【兆し・仕組み・そして時の力:幾と機と期を観る】
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
まず最初に、「幾」について考えてみましょう。この言葉は、「ごく僅か」「兆し」「機微」といった意味を持っています。日々の生活や仕事の中で、ほんの少しの変化や微妙なサインに気づくことがどれだけ大切か、皆さんも感じたことがあるかもしれません。例えば、スポーツの試合で、相手チームのわずかな疲れやミスの兆しを見逃さないことが勝敗を分けることがありますよね。同じように、ビジネスでも市場の小さな変化や顧客のニーズのわずかな変動にいち早く気づくことが、競争に勝つための鍵となります。
次に、「機」です。これは、物事の仕組みを動かすための小さな木軸を意味します。つまり、成功を引き寄せるためのポイント、勘所を見つけることが「機」にあたります。機械がスムーズに動くためには、どこに潤滑油を差すべきかを知っている必要があります。同様に、ビジネスでも、どのタイミングでどんなアクションを取るべきか、どこにリソースを集中させるべきかを見極めることが成功への道です。これはまさに、「機を捉える」ということです。
最後に「期」ですが、これは「約束された時」、つまり「時が熟し、満ちること」を意味します。ビジネスにおいても、成功にはタイミングが非常に重要です。何かを始めるにも、成功を収めるにも、その時が熟しているかどうかを見極めることが求められます。焦りすぎて未熟なうちに動いてしまえば、大きな失敗を招くこともありますし、逆にチャンスを逃してしまうこともあります。ここで重要なのは、正しいタイミングを待つ忍耐と、その時が来たときに即座に行動に移せる準備です。
この「幾・機・期」の三つを観ることができれば、皆さんはどんな状況でも柔軟に対応し、成功への道筋を見つけることができるでしょう。
では、もう少しこの三つの要素について掘り下げてみましょう。例えば、「幾」に関連する話ですが、皆さんは木の年輪をご存じでしょうか? 木の年輪は、その木がどれだけの年数を生きてきたかを示すだけでなく、成長環境や気候の変動も記録しています。年輪の幅が広い年は、成長条件が良かった年で、狭い年は厳しい環境下で成長した年を示しています。私たちの人生やビジネスにおいても、この年輪のように、小さな変化を見逃さず、そこから多くを学ぶ姿勢が大切です。
また、「機」に関連する話として、機械の仕組みについて考えてみましょう。機械を動かすためには、それぞれの部品がどのように連携して動くかを理解する必要があります。ビジネスでも同じです。会社全体の動きやチームの連携、そして市場の動向を理解することで、どこに力を注ぐべきかが見えてきます。この勘所を見極めることができるリーダーは、チームを正しい方向に導くことができるでしょう。
「期」に関しても、皆さんに覚えておいてほしいことがあります。それは、「待つ力」です。成功は、一夜にして成し遂げられるものではありません。果実が熟すのを待つように、成功もまた、適切なタイミングを見極め、待つことが必要です。焦らず、しっかりと準備をし、その時が来たら迷わず行動する。このバランスが、成功をつかむための秘訣です。
最後に、これらの要素を組み合わせた一つの例をお話ししましょう。昔、ある有名な企業家が新しい市場に参入しようとした時のことです。彼は市場の「幾」、つまりわずかな変化の兆しを捉え、その市場が成長する兆しを見抜きました。そして、その市場に適した製品を開発するために、どのような技術やリソースが必要か、まさに「機」を見極めて投資を決定しました。しかし、その決定をすぐに実行に移すのではなく、市場が成熟する「期」を待ちました。結果として、彼の会社はその市場で大成功を収めることができたのです。
このように、「幾」「機」「期」を観る力を養うことは、皆さんが将来リーダーとして成功を収めるための大きな武器となるでしょう。これからも、日々の中で小さな変化に気づき、その変化にどう対応するかを考え、そしてタイミングを見極める力を身につけていってほしいとおもいます。
参考出典
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