まいにち易経_1121【挑戦を楽しむ心:逆境を超えて輝く】石に困しみ、蒺藜に拠る。その宮に入りて、その妻を見ず。凶なり。[47䷮澤水困:六三]
六三。困于石。據于蒺藜。入于其宮。不見其妻。凶。 象曰。據于蒺藜。乘剛也。入于其宮不見其妻。不祥也。
ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、
未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る
この「澤水困」というのは、簡単に言うと「困難に直面している状況」を表しているんですね。そして「六三」というのは、その状況における特定の立場を意味します。この立場は、まさに一番辛い時期、どん底にいる時期のことを指しているんです。
針のムシロに座る
この部分には「針のムシロに座る」という表現があります。皆さん、「針のムシロ」という言葉、聞いたことがあるでしょうか?これは、針が突き刺さるような苦しい状況を意味します。まさに、そのムシロに座っているような感じです。想像してみてください。まるで座るたびに痛みが走り、じっとしていることすらできないような状態です。
大石に阻まれる困難
それだけではなく、「固い大石に阻まれて苦しむ」という言葉も出てきます。皆さんの人生にも、こうした「大石」に出会うことがあるかもしれませんね。それは、大きな問題や挑戦、または人間関係の壁かもしれません。とにかく、前に進もうとすると必ず立ちはだかる大きな障害があるんです。
そして、このような困難に直面しているとき、多くの人はなんとかしてその「大石」を取り除こうと必死になります。しかし、それが逆に自分を傷つけてしまうこともあるんですね。たとえば、無理にその問題を解決しようとして、さらに深く問題に巻き込まれてしまう。まるで、針のムシロにわざわざ座りに行くようなものです。
家に帰っても休まらない
また、この節には「家に帰ると、慰めてくれるはずの妻が逃げていない」という表現もあります。家は本来、安心して休める場所のはずですよね?でも、そんな場所すら失ってしまう。まさに孤立無援の状態です。
苦しみから学ぶ姿勢
このような苦しい状況に直面したとき、多くの人はどうしても逃げたくなるものです。でも、この『易経』が教えてくれるのは、そうした困難から逃げるのではなく、そこから何かを学ぶ姿勢が大切だということです。
なぜなら、困難というのは、私たちを成長させるための試練でもあるからです。たとえば、スポーツ選手が自分を鍛えるために厳しいトレーニングをするのと同じように、私たちも困難に直面したとき、その痛みや辛さを通じて成長することができるのです。
小人と君子の違い
ここで、『易経』が教える「小人」と「君子」の違いを思い出してください。「小人」は、困難に直面してもそれを学びの機会とせず、ただ嘆いているだけです。しかし「君子」は、困難から何かを学び取り、自分をさらに成長させるのです。
たとえば、皆さんが仕事で大きな失敗をしたとしましょう。そのとき、ただ落ち込んでいるだけでは、次のチャンスを逃してしまうかもしれません。でも、その失敗から何かを学び取れば、次は同じミスを繰り返さないだけでなく、さらに大きな成功を手にすることができるかもしれません。
困難を乗り越えるための心構え
それでは、どうすれば「君子」として困難に立ち向かうことができるのでしょうか?まずは、冷静になることが大切です。困難に直面したとき、感情的になってしまうと、冷静な判断ができなくなります。これは、まるで大きな波が来たときに、パニックになって溺れてしまうようなものです。だから、まずは深呼吸をして、状況を冷静に見つめることが重要です。
次に、助けを求めることを忘れないでください。『易経』の中でも、孤立することの危険性が語られています。自分一人で全てを解決しようとせず、信頼できる人々に助けを求めることで、困難を乗り越える力を得ることができます。また、長期的な視点を持つことも大切です。今は辛くても、その経験が将来の糧になると信じることができれば、どんな困難も乗り越えられるはずです。
皆さんがこれからリーダーとして歩んでいく中で、必ず様々な困難に直面することでしょう。でも、その時こそが、皆さんの真価が問われる時です。『易経』の教えを胸に、困難から学び、成長していってほしいと願っています。
困難は逃げるべきものではなく、成長の機会です。そう考えれば、どんな苦しい状況も乗り越える力が湧いてくるでしょう。皆さんが困難に直面したとき、この『澤水困』の教えを思い出し、強く前に進んでいってください。
参考出典
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