【長編連載小説】絶望のキッズ携帯 第15話 一歩目
十円クソ野郎であるこのキッズは、一度親を泣かせる必要がある。それも今までのように自分が迷惑をかけて泣かせるのではない。スマホを与えないなんて、親としてガキに対して申し訳ないことをしていたと泣かせるのだ。少なくとも俺ですら、キッズ携帯しか与えられずに中学入学に挑むガキがいるなど泣きそうだ。今時のショートメッセージなど、宝くじ当選の知らせと合わせて削除される。昔の歌のように、裏面に夢と書いたテストの紙で紙飛行機で折って校舎の三階から飛ばした方が、友達の家に届くかもしれない。翌日、