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脳性麻痺児と利き腕
こんにちは。今日もつらつらと書き連ねていこうと思います。今回のテーマは 「脳性麻痺と利き腕の関係」についてです。
リハビリの現場でよく聞かれるのが、「この子の利き手ってどっちなんですか?」という質問です。確かに、普段あまり意識することのないことですが、利き腕を理解することはリハビリにおいても「やりやすさ」や「アプローチの工夫」に関わってくる重要なポイントです。今回の記事では、この 利き腕 に焦点を当てて話していこうと思います。
利き腕はいつ頃決まるのか?
利き腕の決定には個人差がありますが、一般的には 3歳ごろまでに確定する とされています。ただし、論文によっては 3~4歳ごろ とする説もあり、そのあたりが落としどころでしょう。
また、世界の人口の約 90%が右利き で、左利きは 10%程度 であることも知られています。
しかし、幼少期の子どもは、最初から明確な利き腕があるわけではなく、 両手を使いながら徐々に利き手を決めていく というのが一般的です。特に、赤ちゃんの頃は 左手からよく使い始める ことがあると言われています。これは 脳の発達の影響 で、初期段階では左手を優位に使う子どもが一定数いるためです。
利き腕を矯正するとどうなる?
少し話がそれますが、発達過程で 利き腕を矯正することの影響 についても触れておきます。
かつては 左利きを右利きに矯正する文化 がありましたが、現在では 無理に矯正すると言語発達の遅れやストレスにつながる可能性がある ことが指摘されています。
また、利き腕には 遺伝的要因 も影響するとされており、ある研究では
親のどちらかが左利きの場合、子どもが左利きになる確率は 約17%
両親ともに左利きの場合、子どもが左利きになる確率は 約50%
と報告されています。
こういった点から考えても、環境要因が多少の影響を与える可能性はありますが、 遺伝の影響が強い ことが分かります。
脳性麻痺児における利き腕の重要性
さて、本題の 脳性麻痺児における利き腕の特徴 についてです。
脳性麻痺児の場合、どうしても 麻痺の影響で「使いやすい手」と「使いにくい手」が明確になる ため、健常児よりも早い段階で利き腕が決まることが多いです。
例えば、
片麻痺 の場合、麻痺側の手が極端に使いにくいため、反対側の手ばかりを使う ことになります。
両麻痺(四肢麻痺) の場合、どちらの手も使いにくいことが多く、代償的に口や体を使って操作しようとすることもあります。
つまり、脳性麻痺児の「利き腕」は、選択的に決まるというよりも、使いにくい方があることで「消去法的に決まる」ことが多い のです。
両手を使うことの重要性
「じゃあ、使いやすい方を積極的に使えばいいのか?」と思うかもしれませんが、それだけでは十分ではありません。
発達の過程では、 両手をバランスよく使う経験 がとても大事です。
例えば、
ボタンを留める
→ 片手だけではなく、 両手を協調させて操作する必要がある食事でお皿を支える
→ スプーンやフォークを使うだけでなく、もう一方の手でお皿を押さえる動作が必要
このように、 日常生活の中では「片手だけ」では完結しない動作が多い のです。
脳性麻痺児の場合、早くから片方の手ばかりを使う傾向が強くなるため、
両手を協調させる練習 を積極的に取り入れることが大切です。
「利き手」を決めることよりも、「両手を使えること」を重視する ことが大事です。
特に、学校生活では ボタンを留める・リュックのファスナーを開ける・ハサミを使う など、両手を使う場面が増えるため、 早いうちから両手を使う練習をしておくと、後々の生活のしやすさに直結する と思います。
まとめ
✅ 利き腕は3~4歳ごろに決まるが、脳性麻痺児は「消去法的」に決まることが多い
✅ 無理に矯正すると発達に影響を与える可能性がある
✅ 片手だけでなく、両手を協調して使う経験が大切
✅ 特に、日常生活動作(ADL)を考えると、両手の協調性を高めることが生活のしやすさにつながる
利き腕がどちらかを知ることも大切ですが、 「体の前で両手を使えること」 の方が、実はもっと大事なことなのかもしれません。
インスタもやってますのでよろしければ見てみてください。
Youtubeもやってます
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた。