
読書感想文 『彗星を追うヴァンパイア』
【彗星を追うヴァンパイア】
人間とヴァンパイア、相反する存在から、人の未知への探究心を鮮明に描く作品。
導入として、人間とヴァンパイアもそうだけど、数学(研究)と怪異(ヴァンパイア)という2つの切り口があるところが面白い。
人の形をしたものがあるとして、それを未知と呼び、しかもそれが人間より格段に力がある。それを解明しようとしたときに、どこがどう違うのかって科学的に解明する発想は出にくいのではないだろうか。怖いし。
そこに焦点を当てて研究者視点を組み込み、物語にできてしまうところがすごい。
読んで思ったのは、未知を追求したくなってしまうのは人間の性なんだろうなということ。でなければ、研究者はもちろんいないだろうし、『読書』が多くの人に楽しまれている理由が見つからない。
見つからない、なんて言ってしまうとまた簡単に未知が発生してしまう。。。
そして、追求するだけに留まらず、それを次の代に引き継ぐことができるのは人の素晴らしいところ。だからこそ知識はアップデートされていくし、時間がかかっても未知はひとつずつでも既知に変わっていく。
人がこのまま何世代にも渡り絶滅するまで未知を追求し続けていけば、いつかは既知の隙間の未知、もしくは既知を取り囲む膨大な未知を既知にできるのだろう。その時に自分は生きてなくても楽しみである。
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