言葉を紡ぐ余裕がない、忘れることに精一杯。
目の前に広げた白い紙 12色のクレヨンで 君と僕 色んなものを 描いてきた 少しずつ 埋めていった 白い余白 少しずつ 減っていった クレヨン それはきっと 大切な宝物になると 信じて願って 色んなものを描いてきた そう思っていたのに 気がつけば 真っ黒で 汚くて あちこち 穴が空いて 破れていて 君の右手には もう クレヨンは 握られてなかった また書こうと 誘っても 僕が何かを 描き始めても 君は そっぽを向き 何も言わずに 紙を踏みつけて 行って
よく冷やされた ショートグラス ちょっときつめの ドライジンに 淡く透き通った バイオレットリキュール そして 甘酸っぱい香りの レモンピールを浮かべる 夜空に瞬く星屑の中に 妖艶に輝く満月よ 駆け引きは届かず 願いは叶わず それでもあなたは 優しく艶やかに 微笑みかける 浮かれ 戸惑い 悦び 傷む なんと 掻き乱されることか なんと 狂おしいことか 起きぬ奇跡に 僕は 小さく溜息をつき 喉の奥に流し込む 一滴の期待を残しながら
6月の ほんの隙間の 陽のひかり うっすら滲む 陰に誘われ 風が さぁあっと抜けていく 青い樹木の 奥に一羽 目を閉じ安らぐ 小さな鳥 休むといい 眠るといい 身体を包む その樹は あなたの宿り木 僕は 踵を返す
扉を閉じる そぅと閉じる 音が鳴らないように 相手に気づかれないように 閉じた扉に背をつけて 小さくため息をつく その部屋で 心地よく楽しく過ごしていたと 思っていたのは 僕だけでした ただ不協和音が 鳴り止んだだけでした 背面の扉 閉めたはずの扉 振り返り がちゃっとまた開けたいけれど 君が望んでいないのは 知っているから 行き場のない右手を じっと見つめる もしかしたら いないことに気づいて 開けてくれるんじゃないかと 夢想してみては ただ 項垂れる 扉
ほんとはさ 君とシーソーに乗りたいのに 二人で笑いながら 登ったり下がったりしたいのに 僕が呼んでも 君は来てくれないから 仕方なく 僕はブランコに乗るんだ 一人でそれでも笑って 行ったり来たりするんだ 漕いでものけぞっても 同じ場所でギーコギーコ 立っても逆向いても 変わらぬ景色にギーコギーコ 君の姿はそこにあるのに 君の声はいまも聞こえるのに 空の向こうの蜃気楼 夕陽の中の陽炎 僕はまた君に声かけるよ 一緒にシーソー乗ろうって 君はきっと微笑んで断るね 興味
こころがぐちゃぐちゃで。言葉を紡ぐことがうまくできない。編もうとする舟は難破船。航路が見えない。海図がない。進まざるか。んー。ヨーソロー。
ああ。 と思わざるを得ない 手のひらの隙間から こぼれ落ちる 砂のように 何も残らない 正論と理性に諭しても 建て直せるほどに 私は元気ではないのだ ただ そう、ただ 哀しく寂しい 否応なく温度が欲しい だから 求めてしまうのだ それが紛い物だと 知っていても なお
何を語るまでもなく週末が嫌い 正しくは金曜の夜に家に帰ってから 日曜寝るまでが嫌い 朝寝坊できるしゆっくりできるし 好きなことやったりやらなかったり 出掛けたり遊んだり やることたくさんあるし やれることもやりたいこともあるけれど それでもやっぱり 週末が本当に嫌い 思考が停止する 感情が滞る 叫びたくなる ああ いまこのときこの時間 否応なく刻は刻んでいく 週末にむけて 頭がおかしくなる 視線が歪む 思想が 願いが 決意が 乱れていく 乱れて 細切れ
雨が降る 朝の白い柔らかさのなか 雨が降る 車音だけの静けさのなか 雨が降る 誰も口をきかぬバスのなか 傾く身体 揺れるかばん ぶつかる傘 本を捲る スマホを眺める 溜息をつく 見知らぬ人が現れて 見知らぬ誰かが去っていく 繰り返す 繰り返す 繰り返す ああ今度は 僕の番
昔、というか。 何かでCDを初めて聞いたときから 好きになった曲。 こんな出会いも別れも経験してないけど 心染み入るなぁとしみじみ。 正直にいうなら。 憧れてるんだと思う。 理性と方法でまみれた恋愛論の中で 素直にこう思える相手に巡り会いたいと。 そして、別れたいと、すら。 出会うことはまだしも 過ごすことは甘美に溢れた世界では ないことはわかってるから せめて別れの瞬間は 幻想的でありたい と退廃的な願いがあって だからこそ。 恋は終わりこそ美しい とすら思う僕
いまさらなのですが、髭男のプリテンダーって、とても心が苦しくなる、いい曲だと思うのです。 藤原さんの掠れ声と裏声と抜けた声が微妙に入れ替わるのもいいし、PVも綺麗で素敵だと思う。あの主人公のなんとも言えぬ表情と最後に振り絞った勇気には賞賛します。 そんな中、1番はやはり歌詞。 韻を踏んだあれは、技巧や言い回しに留まることなく、どんどん自分のリアルに突き立てていく肉切りナイフのように思うのです。鋭利な刃物が捌いていくのではなく、甘くジューシーに香ばしい少し硬くなった肉を、ぐ
考えた。何かをしながらもずっと考えてた。自分のかっこ悪さ。君への迷惑さ。これからのこと。分かってた。答えは前からあった。知ってた。なのに見ぬふりをしてた。そして調子に乗ってた。自業自得。ああ。やってみる。適度な温度と適切な言葉で最適な表情と態度。できないかもだけれどやる。
こんな夜に 僕は部屋の灯りを消して 携帯電話の光を見つめていた 1ピクセルも動かない画面を眺め 変わることないアイコンを睨み デジタル時計だけが過ぎていく いつかの夜の 君から届いたメッセージを見つめ 吹き出しに隠れる意味を考えていた 1バイトも含まれない感情を求め 見つかることない希望を探し 既読のままの文字列だけが佇んでいる 否めない現実 離れられない想い 見つけたくない答え 僕の発する言葉の波は もう打ち返ってくることなく ただ流れて消えていく まるで知らな
やっぱり好きなのです。感じる空気に距離があっても、話す言葉に硬さがあっても、向けられるその目、その表情、その仕草。その少し甘えたような話し方。決して発してはならない言葉たちがぐんぐん棘を伸ばして内臓を打ち破ろうとする。それにぐっと堪えながら、君を横目で見る。悔しいけれど否めない。
ある晴れた朝 僕は早起きしてシャワーを浴びる 朝食は食べずにパーカー着たら おろしたてのスニーカーを履いて 家を出る 職場近くのバーガーショップ モーニングセットを注文し席に着く ハンバーガーを頬張りコーヒーを飲み ポテトを一本くわえたら 持ってきた本の栞を外してページを捲る 隣に座っている ショートカットが似合う女の子 あっ、と小さく声を漏らして 椅子から降りて屈み込んだ 立ち上がった彼女はこちらを向き 手をゆっくりと差し出して どうぞ、と優しい声で微笑んだ 彼女の