紙とクレヨンと君

目の前に広げた白い紙

12色のクレヨンで
君と僕
色んなものを
描いてきた


少しずつ
埋めていった
白い余白

少しずつ
減っていった
クレヨン

それはきっと
大切な宝物になると
信じて願って
色んなものを描いてきた


そう思っていたのに


気がつけば
真っ黒で
汚くて

あちこち
穴が空いて
破れていて

君の右手には
もう
クレヨンは
握られてなかった


また書こうと
誘っても

僕が何かを
描き始めても

君は
そっぽを向き
何も言わずに

紙を踏みつけて
行ってしまった


転がったクレヨン
捻れ切れた紙


僕は
片付けることが
できなくて

小さい紙片の片隅に
わずかに残った余白を見つけ
ひとことだけ
書いたんだ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?