遺言の種類〜知っておきたい3つの遺言〜
過去記事では「相続」の種類について解説
しました。
本日は相続とも関係が深い「遺言」の種類を
お伝えしたいと思います。
そもそも「遺言」とは
遺言とは、自分が亡くなった後、自身の財産を
「誰に」「何を」「いくら」「どのように」
渡したいかどうかを生前に意思を表明しておく
手段です。
遺言がない場合は、基本的に民法の定めにより、
「法定相続人」の順位通りかつ、決まった配分
での相続となります。
そのため、自分の希望通りの相続となるように
するためには、とても活用できる制度です。
しかし、子供が2人いるのにも関わらず、
一方には5,000万円、一方は0円のような
過度な遺言をした場合、「遺留分」という
「法律上ここまでは相続を受ける権利がある」
という部分を侵害してしまうため、注意が
必要です。
遺留分についてはまた別記事で詳しく説明
します。
では、遺言にはどのような種類があるので
しょうか。
本日は押さえておきたい3つのパターンを
お伝えします。
遺言の種類
遺言には大きく3つの種類があります。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺言
1つ1つ内容を見ていきましょう。
①自筆証書遺言
これは名前の通り遺言者が自筆で遺言書を
作成するパターンです。
形式は問いませんので、ペンやノートでも
OKです。
自筆であるため、パソコンでの作成はNGです。
財産目録を別紙で用意する場合の目録について
のみはPCでOKですが、本文は必ず自筆です。
要旨、日付、名前、印鑑などが揃っていれば
基本的には承認されるでしょう。
自筆証書遺言のメリット
・自筆で簡単に作成が可能
・費用負担がない
自筆証書遺言のデメリット
・紛失リスクがある
・そもそも発見されない可能性がある
・隠蔽や破棄されるリスクがある
・家庭裁判所の検認が必要
このように、自筆証書遺言は簡単に作成ができ、
費用負担がないことから、遺言の中でも1番
選ばれる方法ではありますが、紛失や隠蔽など
現物で自宅などに保管するゆ故のリスクが存在
します。
そこで、自筆証書遺言デメリットを解決する
ために、2020年7月から始まった制度があり
ます。
遺言書保管制度
これは、自筆で作成した遺言書をあらかじめ
法務局で保管をしておける制度です。
上記のような紛失や隠蔽などのリスクから
守れる他、事前に遺言書のチェックを受けて
おくことができるため、いざ相続の際に遺言書
の形式に不備があり無効となるようなリスクも
排除できます。
また、「死亡時通知」と呼ばれる遺族1名を
選択し、遺言書が死亡した時に遺言が保管され
ていることをお知らせする制度もあります。
そのため、発見されないといったリスクまで
排除できます。
手数料は3,900円ほどですので、自筆証書遺言
の作成を考えられている方は、ぜひ利用をして
おいた方が賢明かと思います。
法務省の案内もぜひご覧ください。
②公正証書遺言
では、2つ目の遺言の種類です。
これは「公証人」と呼ばれる遺言の作成を証明
してくれる証人を立てて、作成する遺言の
パターンです。
証人が遺言書が存在する事実を知り得ているため
自筆証書遺言で挙げた紛失や無効のリスクなどは
少ないため、確実性が高い方法です。
公正証書遺言のメリット
・証人がいるため無効になりにくい
・原本を保管すふため紛失がない
公正証書遺言のデメリット
・遺産額が高額な場合費用負担が高い
・証人2人を立てなければいけない
確実性が高い分、それなりの手間や費用がかかる
のが公正証書遺言です。
手数料の目安は以下の通り。
相続財産が高額になればなるほど、費用負担は
高くなります。
また、相続人になるであろう方や、その方の
配偶者や直系血族は公証人になれません。
そのため、身近で公証人となってくれる方が
いない場合は、公証人を外部で手配する費用
も別途必要になります。
そのため、確実な相続の可能性が高まる分、
費用負担が大きいパターンとされます。
③秘密証書遺言
では、最後の遺言の種類です。
これは、先ほどの公正証書と似ていますが、
違いとしては「遺言内容を秘密」にして、
遺言があるという事実だけを確実にするのが
目的です。
そのため、実務上はあまり利用されていない
ようです。
秘密証書遺言のメリット
・内容を誰にも知られない
秘密証書遺言のデメリット
・無効になる可能性がある
・紛失のリスクがある
・発見されないリスクがある
・家庭裁判所での検認が必要
・費用負担がある
・証人が必要
以上が遺言の3つのパターンです。
では、実際に利用するのであれば、どのパターン
が良いのでしょうか。
私個人としては「公正証書遺言」です。
手間や手数料負担があるものの、せっかく遺言
を作成するのであれば、無効にならないように
するのが1番だと思います。
そういう点では、事前に検認を受け、有効な
状態で備えることができる公正証書遺言が1番
の方法ではないでしょうか。
実際に、相続をされる方で遺言書を発見した
という方は、「遺言執行」をしなければなり
ません。
なお、この遺言書は開封せず家庭裁判所に
持参をしてください。
開封した時点で無効となる可能性があり
ます。
この手続きは一定複雑な部分があるなめ、
弁護士のアドバイスを受けるといいかもしれ
ません。
士業のネットワークでお困りの方もぜひ
お声かけください。
それでは。