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BtoB SaaSのカスタマーマーケティングをゼロからやるときに最初に考えたこと(企画編)
こんにちは。株式会社インゲージのマーケティング部でアシスタントマネージャをしているヤマシタです。普段は自社BtoB向けSaaS「Re:lation(リレーション)」のマーケティングを担当しています。詳細は入社エントリをぜひご覧ください。
メイン業務はリードナーチャリングを担当していますが、CS側のマーケティング活動についても取り組む機会があり、その時に考えたこと・やったことを言語化してまとめてみました。
私自身はCS出身ではないマーケ担当者です。ただ世のスタートアップでは完全なCS出身ではない人がCSについて考えることが多いのではないかと思っています。そういった方とは同じ目線ですので、一周回って(?)参考になるかもしれないなと思い、筆を取りました。そのためMRRやchurn lateといったよくあるSaaS用語は極力使わずにいきます。(ボロが出そうだからという理由もありますが)
とりあえず売り上げを構成する要素分解してみる
弊社の事業であるSaaS「Re:lation」を対象として考えてみました。Re:lationにはざっくり以下のような特徴があります。
月額費用のサブスクリプションモデル
利用人数やストレージに応じた有償プランがある
一部機能が試せるフリープランがある
メインのプラン以外に複数の有償オプションがある
そうやって出した自社の製品特性に合わせた選択肢を列挙してみました。
![](https://assets.st-note.com/img/1729494067-183dRIDYTHWi796pPKAQlgMa.png?width=1200)
「顧客満足度をあげる」といった間接的な要因は一旦排除する
個人的に、何かを列挙する際はSMARTの法則を大事にしています。
こういうアイディアを出した場合、「Measurable(測定可能な)」か「Related(経営目標に関連した)」のどちらかが外れた意見となっている場合があります(例えば「ウェブサイトへの流入を増やす」はMeasurableであるがRelatedではない)。
顧客満足度というのは大原則重要な考え方なのですが、例えばNPSのスコアを経営判断に活用したりということはもう一段階試行錯誤する必要があり、要は難易度が高いです。我々のような第一歩を踏み出す人たちは指標は極限にシンプルでわかりやすい方が良いと思います。
シンプルなKPIを取ることについてはこちらをぜひ参照ください。
そのため要素としては「その数値があがったら売り上げもそのままあがるもの」に絞って考えるべきだと思っています。
やることは一つに絞る
もし数百万以上の予算や多くの人的リソースを抱えている企業や部署であれば同時並行でも良いですが、大抵カスタマーマーケティングや私がメインとするリードナーチャリングは「テックタッチを活用した低CPAでの売り上げ向上」を目的としているため、予算やリソースはそこまでありません。
その場合、あまり広くやりすぎると「結局やって良かったのか」という判断や意思決定ができないというワーストケースになる可能性が高いです。
そのため、基本的には特定の期間中は一つのレバーだけを動かすことをひたすら意識するようにしました。
要素分解したものからQCDで判断する
次に候補としてあげたものから実行すべきかの判断と、実行する順番を決めます。前提、「これにすべき」という正解はなく、「成功確率が高そうなもの」を決めるものであり、全て実行するのが一番偉いです。ただ上記で述べたようにリソースがない場合は優先度を決めて施策実行→振り返り→次の施策実行→振り返り→・・・・の試行回数を高めることが重要となります。
解約数/率は外的要因が多くコントロールできないと判断
カスタマーサクセスの領域おける解約率はSaaSにおいて重要指標というイメージが強く、想起にはあがったものの、結論タッチしないことにしました。その理由としては以下の3点となります。
お客様の事業縮小や撤退といった外的要因が避けられない
ありがたいことにサービスの解約率は非常に低く、改善インパクトが大きくない
外的要因に限らず解約する要因は企業によって千差万別であり、特定箇所を改善することによる阻止の難易度がそもそも高い
最終的に解約率を選択肢に含めるかどうかは利用企業数と平均単価と現時点での解約率によって変わると思いますが、高単価少数の企業に支えられているサービスである場合は圧倒的に優先度は高いと思います。ただその場合はCS担当者がハイタッチで対応すべきであり、カスタマーマーケティングによってテックタッチでアプローチするべきではないです。
まずは売上インパクトの大きさ<納期の速さを選ぶ
最初は「そもそもこの取り組みを継続すべきか」という判断が必要になるため、直接的に売上に貢献していないとしても「効果がではじめている状態」をつくることが大事だと思っています。
そのため、売り上げのインパクトとしては2番手以降でも短期的に効果が見込める可能性があるもののほうが望ましいです。
また早い段階で実感が得られる方が担当者のモチベーションや上長の印象としても良いという理由があります(結局担当者が根気強く続けられるかという割合が大きいと感じるため)。
例えば単純な売り上げのインパクトが大きいからとエンタープライズ企業を対象とするとリードタイムが長期的になったり、接点の確保が必要となり、そもそも結果がわかるのは来年・・・みたいな世界観だとPDCAの回しようがないという問題が生じます。
選んだものからさらに分解する
![](https://assets.st-note.com/img/1729499781-JL5q2inYzfptAkjPbSG69KBI.png?width=1200)
QCDによって注力すべきものを決めた場合、その中でもどういう区分があるかの分解を行うことで最終的に取り組む施策を決定しました。
弊社の場合ですと「有償オプションの追加」をKPIとした取り組みを最初に検討したのですが、その中での要素を分解しました。以下はその一部です。
オプションの単価(安い↔︎高い)
導入する可能性のある企業母数(少ない↔︎多い)
オプション導入の緊急度(低い↔︎高い)
導入ハードルの高さ(低い↔︎高い)
オプション未導入の理由(認知不足・価格・機能不足など)
補足しますと「導入する可能性のある企業母数」というのは特定の業界に特化したオプションであればそもそも対象は限られるし、自社製品をつかっているすべてのお客様が利用する可能性があるならば一番広いというニュアンスです。「オプション導入の緊急度」はそれを利用していないことで実務上に支障があるのか、さらなる効率化を提供するものなのかというニュアンスです。
上記を洗い出した上で再度QCDを使った判断を実施しました。ただこちらでも売上インパクトの大きさ<納期の速さを重視して選びました。また、極力ニッチなものではなく、対象母数が大きいものを対象としました。こちらも「大通りを大事にしろ」という樫田さんの言葉を胸に刻んでいるためです(ご本人との接点はなく、ただ参考にさせていただいています)
あとは実行あるのみ
何をするかを決めてしまえばあとは順番に実行していくだけです。実行以降の取り組みについてはまた別noteとしてまとめられたらと考えいます。
最後に:カスタマーサクセスのためのメディアもやっています
今回は企画編と題して実行までに考えたことを順番にまとめていきました。弊社はCS向けのメディアも運営していまして、そちらにも役立つコンテンツを用意していますので、ぜひご覧ください。では!