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「いい意味で」って便利な言葉だけど、楽してる。

ふと思ったことがある。

「『いい意味で』って言葉、便利だけどなんかずるくない?」

と。これは私がひねくれているからだろうか。


「いい意味で」という言葉をつくときというのは、大抵その言葉のあとに続本来あまりいい意味ではない言葉たちが続く。

・いい意味で背が低いよね
・いい意味でどこか抜けているよね
・いい意味で頑固だよね

実際に言われたことのある言葉たち。


「いい意味で」ってつけることはきっとその人の優しさなんだと思う。「マイナスに思っているかもしれないけど、全然そんなことないよ!」って。もしかしたら皮肉を込めて言っている人もいるかもしれないが。

優しさが届くときもあるかもしれないけど、言われた方って結構バカにされている感じがするんじゃないだろうか。そもそも皮肉に聞こえるんじゃないだろうか。

「わざわざ『いい意味で』とつけるって、もしかしてバカにしている?」

きっと考えすぎなんだろうけど、そう解釈する人もいるんじゃないかな、って。人の解釈は、その人にしかわからないから。


別に関係性が出来上がっている間柄であれば、『いい意味で』ってガンガン使っていいと思う。エンタメ的な要素として。愛あるイジリとして。例えば自分の身長の件だったら、言葉を濁されたり腫物を触る感じで対応されたりした方が居心地が悪い。きっとそれってお互いの発言の行間が読めるから。言いたいことがなんとなくわかるから。

でも関係性が出来上がっていない時に『いい意味で』を使うとどうだろう。使う場面としては例えば相手を何とかフォローしたいときとかが浮かぶ。

相手がネガティブなことを言ってたり、相手の直してほしい部分を言う時、「嫌な気持ちになってほしくはないな」という思いで『いい意味で』と使いかねない。でもこれは実は危険なんじゃないか、と思う。

まだお互いの行間を読めないから。

「それってどういう意味ですか?」と気軽に聞けないから。お互いの気持ちがアンジャッシュ状態で続いていく。そう、すれ違い。気づいたときにはもう遅い。


そもそもこういったすれ違いが起こるのは、『いい意味で』がすごい抽象的だから。いろんな説明や『いい』と思う内容を省略した結果が『いい意味で』の5文字に集約されている。そういった意味で『いい意味で』で完結させるのは怠慢だと思う。


たしかに長々と説明するのは面倒だ。聞かされている方もしんどいかもしれない。でも関係性が出来ていない中で、お互いの意図が読めないまま話が進んでいく方が私は怖い。

そこでの言葉選びは妥協したくない。

「○○さんって、ーーなところがありますよね。いい意味で」

ではなくて、

「○○さんって、ーーなところがありますよね。私は△△だと思っているのですごい素敵だと思いますよ」

みたいな。

こう文章にするとものすごく骨の折れる作業だけど、誤解が生まれるくらいならその苦労はした方がいい気がする。それが嫌だったら関係性出来る前にそんな攻めた会話しない方がいい。





これはあくまで私の解釈だ、いい意味で。

それぞれがそれぞれの解釈を持っていていいと思う、解釈は自由だ。いい意味で。

意識したいのは思ってもいない溝が、自らの言葉選びによって生まれてしまうこと。する必要のない誤解や傷つきをしなくていいようにすること。

そういった意味で、言葉選びには妥協をしないようにしていきたい。

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塩浦良太
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