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櫻坂46

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櫻坂の中編をまとめてます。 古い順に並べてます。
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#渡邉理佐

君がいる風景

君がいる風景

夕暮れの街がオレンジ色に染まる中、小林由依は何度も画面をスクロールしていた。
画面に映るのは、彼とのメッセージだ。
短い文面、でも心が揺れる。
彼の名前は〇〇。
かつて一緒に過ごした日々が、胸の奥で温かく残っていた。

由依と〇〇が出会ったのは、大学のサークルだった。
彼はいつも控えめな性格で、周囲の人たちからあまり目立たない存在だったが、その落ち着いた雰囲気が由依には心地よかった。
彼と初めて話

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静寂に響く想い

静寂に響く想い

題材楽曲:無言の宇宙
言葉遣いに不備があれば優しくご指摘ください🙇‍♀️
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渡邉理佐は静かに窓の外を見つめていた。
夜空には星が瞬き、まるで無数の思いが散りばめられているようだった。
ふと、隣に座る小林由依が「綺麗だね」と呟く。
理佐は頷いたものの、心の中には静かな波が揺れていた。

「ねえ、理佐。最近、何か考え事してる?」
由依が問いかける。

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秋の夕暮れに染まる君へ

秋の夕暮れに染まる君へ

〇〇は、かつての高校時代からの友人たちと同じ大学に通うことになった。渡邉理佐、田村保乃、山﨑天。あの頃からずっと一緒で、今も変わらない日々を過ごしている。キャンパスは広く、どこか懐かしい感じがしたが、それでも毎日が新鮮だった。4人の関係もまた、少しずつ変化していた。

理佐と〇〇は幼なじみで、小さい頃から何でも言い合える間柄だった。彼女の落ち着いた性格と無駄のない言葉遣いに、〇〇はいつも安心感を抱

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永遠に続く微笑み

永遠に続く微笑み

春の温かな風が吹き始める頃、理佐は大学のキャンパスに向かっていた。友人の小林由依と一緒に、新しいクラスの教室に向かう途中だった。

理佐:由依、次の授業って何だっけ?

由依:たしか、英語だったよ。結構大きな講義室だから、早めに行こうか

理佐は少し笑って頷いた。いつも冷静で大人びた彼女だったが、由依とは気の置けない友人であり、二人は大学生活を共に過ごすことが多かった。

講義室に入ると、見知らぬ

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404 not found

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窓から柔らかな朝日が差し込み、静かなカフェに光が溢れた。彼女がそっと湯気の立つカップを両手で包み込む。白いカップから立ち昇る香ばしい香りに、自然と微笑みがこぼれた。

理佐:あったかい…

そう呟く彼女の声が静寂の中に溶け込み、どこか寂しさが漂う。それもそのはずだ。毎朝一緒に過ごしていた彼――○○は、今ここにはいない。

初めて彼に出会ったのは、去年の秋。紅葉が舞い散る京都の寺院で、偶然すれ違った

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氷雨の約束

氷雨の約束

冷たい雨がしとしとと降り続けていた。

街の人々は皆、急いで足を速めて、傘をさしながら無言で歩いている。そんな中、理佐は交差点の角でじっと立ち止まり、灰色の空を見上げた。

どこか寂しげなその表情は、傍目からはわからない心の中の嵐を示しているようだった。彼女の横には、小さな透明のビニール傘が寄り添うように置かれている。

そして、彼女の目の前には、かつて好きだった男性──○○が立っていた。

○○

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君の背中を押す風になろう

君の背中を押す風になろう

冬の夜、冷たい風が街を包み込む中、カフェの窓際に座る彼女の姿があった。

理佐は、温かいカフェオレのカップを両手で包み込みながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。街路灯の光が、青白い輝きとなって映り込むガラス越しに、彼女の横顔が静かに浮かんでいる。

○:遅れてごめん。

○○の声に、理佐は少し驚いたように振り返る。そして、すぐに柔らかな微笑みを浮かべた。

理佐:ううん、全然平気だよ。

向かいの

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季節が巡るたび君を想ふ

季節が巡るたび君を想ふ

冬の陽射しが柔らかく差し込むカフェ。理佐はお気に入りの席に座り、カップの縁に指を添えていた。彼女はいつものように、誰かに気づかれることもなく一人の時間を楽しんでいる。

○○がそのカフェに来たのは偶然だった。友人に勧められて訪れた場所だったが、店内の落ち着いた雰囲気が彼の気持ちをすぐに和らげた。だが、カウンターでコーヒーを受け取りふと顔を上げたとき、彼の視線は吸い寄せられるように理佐へ向かっていた

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未来への光

未来への光

渡邉理佐が静かに立っている場所は、大学近くの本屋の一角だった。彼女は手に持った文庫本の裏表紙を眺めながら、迷うような表情を浮かべている。その佇まいは目立つことなく、けれども自然と視線を引きつける魅力があった。

○○が彼女に初めて気づいたのは、まさにその本屋の中だった。特に意識して見たわけではない。ただ、視界の隅に入ってきた彼女の姿があまりにも印象的だっただけだ。

○○:その本、面白いんですか?

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君が君であると知る前に~前編~

君が君であると知る前に~前編~

公園の広場に、乾いたボールの音が響いていた。

○○がいつものように友達とサッカーをしていると、見慣れない子がひとりでリフティングをしていた。短い髪に汚れたスニーカー。動きが機敏で、ボールの扱いがうまい。

○○:お前、誰?

その子はボールを足元で止めると、少しだけ睨むような目で○○を見た。

理佐:別に、ただの近所のやつ

○○:サッカー、好きなの?

理佐:嫌いじゃない

○○:じゃあ、一緒

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君が君であると知る前に~中編~

君が君であると知る前に~中編~

この物語は続編です。
出来れば先にこちらをお読みください。

高校で再会した○○と理佐は、また少しずつ距離を縮めていった。

最初は久しぶりにサッカーをするだけだったが、気づけば二人で過ごす時間が増えていた。

──放課後、並んで帰る道。
──休日、カフェでお茶をする時間。
──何気ないLINEのやりとり。

だけど、○○はまだ理佐に気持ちを伝えられずにいた。

そんなある日、理佐がふと呟いた。

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君が君であると知る前に~後編~

君が君であると知る前に~後編~

この物語は続編です。
よければ先にこちらをお読みください。

結婚してから数年が経った。

○○と理佐は、お互いに仕事をしながら、穏やかで心地よい日々を送っていた。

最初は慣れないことも多かった。
朝のコーヒーの好み、洗濯物の干し方、休みの日の過ごし方──些細なことで衝突することもあったけれど、結局のところ二人はお互いを尊重し合いながら、少しずつ「夫婦」としての形を作っていった。

ある休日の朝

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