ryme@妄ツイ
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櫻坂の中編をまとめてます。 古い順に並べてます。
乃木坂の作品をまとめてます。 古い順に並べてます。
初長編「明日、もう一度君に…」
日向坂の作品をまとめてます。 古い順に並べてます。
夕暮れの街がオレンジ色に染まる中、小林由依は何度も画面をスクロールしていた。 画面に映るのは、彼とのメッセージだ。 短い文面、でも心が揺れる。 彼の名前は〇〇。 かつて一緒に過ごした日々が、胸の奥で温かく残っていた。 由依と〇〇が出会ったのは、大学のサークルだった。 彼はいつも控えめな性格で、周囲の人たちからあまり目立たない存在だったが、その落ち着いた雰囲気が由依には心地よかった。 彼と初めて話したのは、サークルの飲み会の帰り道。 ふとした瞬間に二人だけが残り、街灯の下で言
夕暮れの渋谷。人混みに飲み込まれるようにして、○○はふと立ち止まった。いつもなら訪れない街。しかし、今日は何となくここに来るべきだと思った。それが直感だったのか、それとも何かの導きだったのかは分からない。 スペイン坂を降り、帰路につこうとした瞬間、彼は階段の上から歩いてくる誰かに目を奪われた。 夏鈴:…○○くん? 彼女の声が、そのまま世界を止めるように響いた。 ○○:夏鈴…? 偶然とは思えない再会だった。数年前、○○がまだ高校生だった頃、同じクラスで同じ空間を共有し
初夏の風が、川辺の緑をそっと揺らしていた。○○と由依は、ゆっくりとした足取りで並んで歩いていた。昼間の蒸し暑さがようやく和らぎ、肌に感じる夜風が心地よい。川沿いの遊歩道には人影もまばらで、時折すれ違うのは散歩を楽しむ高齢の夫婦か、ランニング中の若者だけだった。 ○○は少しだけ緊張していた。彼にとって、由依と二人でこうして歩くのは、どこか特別な意味を持っていた。以前は友人たちも交えて何度か出かけることはあったが、二人きりで出かけるのは今日が初めてだった。 ――この瞬間を、ず
雨音が遠くから耳に届く。重たくもなく、心地よくもある奇妙なリズム。 気づけば、私は見知らぬ広場に立っていた。灰色の空がどこまでも広がり、足元に続く石畳は雨に濡れて滑らかに光っている。どこかで見たことがあるような風景なのに、ここがどこなのかは思い出せない。しんとした静けさの中で、ふと気づいた。誰かの視線を感じる。 そこに立っていたのは、一人の男性だった。 ○○:やっと会えたね。 彼の声はどこか懐かしく、胸の奥にじんわりと響いた。傘を差し出してきた彼は、私を優しく見つめて
六月も終わりが近づき、梅雨空から少しずつ青空が顔を覗かせるようになった。校舎から見える空はどことなく夏の匂いを含んでいる。 ○○は教室の窓際の席から、ぼんやりと外を眺めていた。その視線の先に、同じクラスの谷口愛季の姿がある。彼女は今日も友人たちと笑顔で話しながら帰り支度をしていた。 教室の中は、夏休み前の独特な高揚感に包まれていた。けれど、○○の心はどこか晴れない。 彼女の隣にいるのは、サッカー部のエース。最近、二人が一緒にいるところをよく見かけるようになった。 「も
向井純葉は高校二年生。彼女の笑顔は、どこか影を帯びている。 クラスでは目立つほうではなく、放課後の教室でも、誰かといるより窓際で静かに本を読んでいることが多かった。空を見つめるその瞳には、日々の悩みが溶け込んでいるようだった。 そんな純葉に声をかける一人の男子生徒がいた。 ○○:向井さん、また一人で? 彼の声に純葉は顔を上げた。○○はクラスで明るく、誰とでもすぐに打ち解ける性格だった。 純葉:……うん、別に一人が嫌なわけじゃないけぇ。 ○○:そうかもしれないけど、
東京の夜空に煌めく星々が、街の喧騒を静かに見下ろしていた。○○の初めてのワンマンライブが行われるライブハウスは、期待に胸を膨らませた観客で溢れかえっている。その中に瞳月の姿もあった。彼の歌声を聞くために、そして彼がどんな未来を描いているのかを知るために。 瞳月:○○、どれだけ成長したんやろな。 小さく呟いたその言葉に、隣で聞いていた友人の谷口愛季が微笑む。 愛季:ずっと追いかけてきた夢、きっと最高の形で見せてくれるよ。 瞳月は頷きながら、心の奥で抑えきれない期待と緊張
瞳月が演劇部での活動に打ち込むようになってから数か月が経った。冬の気配が近づき、街の木々は葉を落として寒々しい景色を見せている。季節の移ろいとともに、瞳月の心にもある変化が訪れていた。 演劇部では瞳月の存在感が徐々に増していた。次の文化祭では、彼女がヒロイン役を務めることが決まっていたのだ。台本が配られると、彼女はその厚みと重さに思わず息を飲んだ。ページをめくるたびに、自分が演じるキャラクターの心情が複雑に絡み合っているのがわかる。 部長:瞳月、台本はもう読んだ? 瞳月
○○が東京へ旅立ってから数週間が過ぎた。秋が深まり、街の木々は色鮮やかな紅葉で彩られている。瞳月は今日も学校へ向かうため、制服の上にカーディガンを羽織って家を出た。朝の冷たい空気が肌を刺すようで、少し背筋を伸ばして歩く。 学校に着くと、いつも通り教室には愛季が先に座っていた。彼女は瞳月を見つけると、すぐに明るい声で話しかけてきた。 愛季:おはよう、瞳月! 昨日のドラマ見た? めっちゃ泣けたよねー! 愛季は話題を絶やさないタイプだ。いつも何かしら新しい話題を持ち込んで、瞳
翌朝、瞳月は昨夜の眠りが浅かったせいか、頭がぼんやりとしていた。枕元に置かれたスマホの画面には「6:30」と表示されている。いつもならあと30分は布団の中で過ごすところだが、今日は自然と目が覚めてしまった。心の中にわだかまる何か――それが彼女を落ち着かなくさせていた。 制服に袖を通しながら、昨日の会話が頭をよぎる。○○の東京行きと、彼の「夢」という言葉。瞳月はその言葉にどこか引っかかりを覚えながらも、彼のまっすぐな瞳を思い出すと、自分も応援したい気持ちが膨らんでくるのを感じ
日が傾き、街の公園に差し込む夕陽がオレンジ色に世界を染め上げる頃、瞳月は○○と向き合っていた。 二人の距離はいつもと変わらないはずなのに、今日は少し遠く感じる。沈黙が長く続き、互いに何を言えばいいのかを模索しているようだった。やがて、○○が静かに口を開いた。 ○○:昨日の話、ちゃんと伝えたいと思って。 その声はいつもより少し硬く、緊張が滲んでいた。瞳月はそっと頷く。 瞳月:うん、話して。 彼女の声は柔らかいが、その内側にある不安は隠しきれなかった。 ○○:俺、東京
木漏れ日が差し込む部屋の中、瞳月は膝を抱えて静かにけん玉をいじっていた。手元で揺れる赤い玉を見つめながら、彼女は昨日の会話を何度も反芻していた。 「結婚ってさ、人生の大きな分岐点だよな。」 ○○の言葉は、今も彼女の胸に刺さっている。彼は幼なじみで、どんな時も隣にいてくれる存在。瞳月にとって、彼との時間はいつも心地よかった。それだけに、彼の突然の一言は、まるでその心地よさを揺るがすかのように響いていた。 瞳月:それ、急に何の話やねん? 瞳月がそう問いかけても、○○は困っ
遠藤さくらは机に向かい、手元のノートをじっと見つめていた。ページは真っ白。ペンを持つ手が震え、何も書けないまま時間だけが過ぎていく。 大学生活が始まって半年が経とうとしているが、彼女の心はずっと張り詰めていた。初めての一人暮らし、慣れない授業、友達づくり──何もかもが彼女にとって新しい挑戦だった。それでも最初のうちはなんとかやってこれた。けれど、少しずつその負担が積み重なり、彼女の心は疲れ果てていた。 今日はレポートの締め切りが迫っている。しかし、どれだけ考えても何を書け
冬の寒さが一段と厳しくなり、街中がクリスマスの雰囲気に包まれていた。 どこを見ても煌びやかなイルミネーションが輝き、恋人たちの笑顔が溢れている。 でも彼女にとって、この季節は少し切ないものだった。 天:あなた、元気でやってるかな? 自分の部屋に戻り、手に持ったスマートフォンを見つめる。 最後に○○から連絡があったのは、もう数週間前のことだ。 忙しいのはわかっている。 彼は遠く離れた地で、新しいプロジェクトに取り組んでいる。 「元気でやってますか?電話も最近かか
○○と優月は幼なじみだった。昔から隣同士の家に住んでいた彼らは、いつも一緒だった。小学校に入る前からお互いに遊び合い、悩みや夢を語り合ってきた。 二人が高校生になった頃から、少しずつ環境が変わっていった。優月はクラスでも目立つ存在になり、多くの友人に囲まれていた。一方、○○は内向的で、優月とは違い目立つことはなかった。 それでも、○○はいつも優月の近くにいた。彼女が頑張っている姿や、笑顔でみんなを励ます様子を遠くから見守っていた。そして、いつしか○○は自分の心に芽生えた想
村山美羽は、ベッドに横たわり、天井をじっと見つめていた。 頭の中には、あの曲のフレーズがぐるぐると巡っている。好きな人を思う夜はなぜか眠れなくなる、という歌詞が、まるで自分の気持ちを代弁しているかのように感じられる。 この想いを、誰かに伝えられたら、どれだけ楽になるだろうか。でも、それができないから、こうして一人、深夜の部屋でため息をつくしかない。 ふと携帯を手に取り、幼なじみである○○の名前を検索欄に打ち込んでみるが、メッセージを送る勇気が出ない。彼にとって、自分はた