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君が君であると知る前に~中編~

この物語は続編です。
出来れば先にこちらをお読みください。


高校で再会した○○と理佐は、また少しずつ距離を縮めていった。

最初は久しぶりにサッカーをするだけだったが、気づけば二人で過ごす時間が増えていた。

──放課後、並んで帰る道。
──休日、カフェでお茶をする時間。
──何気ないLINEのやりとり。

だけど、○○はまだ理佐に気持ちを伝えられずにいた。

そんなある日、理佐がふと呟いた。

理佐:ねえ、覚えてる? 昔○○さ、私のこと男だと思ってたよね

○○:……忘れるわけないだろ

理佐:最初、めっちゃムカついたんだから

○○:でも、お前、昔は男みたいだったし……

理佐:は? それどういう意味?

○○:いや、いい意味で……いや、悪い意味じゃなくて……

理佐:ふーん……まあ、いいけど

理佐は少し笑って、それ以上は何も言わなかった。

○○は理佐の横顔を見つめながら、心の中で思う。

──もう、ただの「幼なじみ」じゃいられない。

それからしばらくして、○○は思い切って理佐をデートに誘った。

○○:なあ、今度の日曜、遊びに行かない?

理佐:別にいいけど……どこ行くの?

○○:……遊園地とか?

理佐:へぇ、○○が遊園地ねぇ

○○:ダメ?

理佐:別に、いいけど

その日、○○は覚悟を決めていた。

遊園地で観覧車に乗ったとき、○○は意を決して言った。

○○:なあ、理佐

理佐:なに?

○○:……お前のこと、好きだ

理佐は驚いたように目を丸くした。

理佐:……は?

○○:おれ、お前のことが好きなんだ。昔はただの幼なじみだと思ってた。でも、今は……そうじゃない

沈黙が流れる。

理佐はしばらく黙っていたが、やがて少しだけ笑った。

理佐:……なんか、変な感じ。だって、ずっと一緒にいたのにね

○○:うん

理佐:でも、そういうの、嫌いじゃないかも

○○:それって……?

理佐:つまり、よろしくってこと

その瞬間、観覧車の中で○○はほっと息をついた。

こうして、二人は恋人になった。




それから数年後。

○○と理佐は社会人になり、お互いに仕事をしながら付き合い続けていた。

○○はずっと考えていた。

──そろそろ、ちゃんと伝えないと。

ある日、○○は理佐を夜景の見えるレストランに誘った。

食事が終わり、二人で夜景を見ながら歩いていると、○○は理佐の前に立ち止まる。

○○:理佐

理佐:ん?

○○:……おれと、結婚してくれないか?

そう言って、小さな箱を取り出した。

理佐は目を見開いて、しばらく言葉を失った。

そして、少し照れくさそうに笑いながら言った。

理佐:……しょうがないなぁ。こんなやつと結婚するしかないか

○○:おい、それどういう意味だよ

理佐:そのままの意味

そう言いながら、理佐はそっと○○の手を握った。

そして、二人は夫婦になった。



ずっと一緒にいた幼なじみは、人生のパートナーになった。

○○は改めて思う。

理佐が、理佐でいてくれてよかった。



そう思いながら、○○は理佐の手を強く握り返した。


続き↓

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