【読書ノート】『マチネの終わりに』
『マチネの終わりに』
平野啓一郎著
マチネとは、舞台芸術において、昼間に行われる公演のことを指す。物語の中では、蒔野が演奏会のマチネ公演の後に小峰と出会い、二人の切なすぎる恋の物語が始まる。
「未来は過去を変えることができる」
過去の出来事の評価を決めるのは、いつでも現在の自分の主観であり、それ故に「過去」とは移ろいやすいということ。つまり、全ての物事の評価は更新可能だということ。一時的に失敗と感じたとしても、その出来事を契機に、より良い状況を築き上げることができたら、それは「成功」と捉えることができる。
物語の主題は何か?
結ばれるべき人としか、結ばれないということなのだと理解した。
冷静に考えると、現実的には、物語の中で発生したすれ違いは、ありえないだろうと思ってしまったのだけどね。
愛はもっと激しいものなわけで、少しの障害で、二人の距離が離れてしまったというのがなかなか、考えにくくてね。
物語的には、不可抗力で、すれ違ってしまって、そのまま、別々の人生を歩んでしまう。
そこが、なかやか、切ない。
人生100年として、90万時間。
そのうち3分の1は寝ていると思うと、活動している時間は、60万時間。1時間に一人と出会うことができるとしても、60万人としか出会えない。
ひとは、出逢うべき人とは、出逢っているのだと思う。でも、人生のパートナーというのは、べつなのだろうなあと勝手に思ってしまった。