【読書ノート】『ある夜の思い出』(『木になった亜沙』より)
『ある夜の思い出』(『木になった亜沙』より)
今村夏子著
主人公の「わたし」が、昔、引きこもりだった頃、ある男性にプロポーズされたということを思い出すという物語。
「わたし」は、学校をでてから、15年もの間、まるで出不精の猫のようにぐうたらに生活していた。暮らしていた。
ある日、「わたし」は、家から、飛び出した。「わたし」は、ネコになっていた。街で、「わたし」同様、ネコのような姿の男と出会い、プロポーズされる。
何だかよくわからない話なのだけどね。不思議な物語だ。
キーワードは、「ネコ」
「ネコ」には、どんな意味があるか?
1. 存在論: ネコはフレンチ哲学者ルネ・デカルトによる有名な思考実験、「邪悪な魔神」の一部であり、私たちの知識と現実に対する認識を問うという。デカルトはネコが本当に存在するのか、それとも私たちがそれを感じるだけで実際には存在しないのかを疑問視していた。
2. 無意識: カール・ユングはネコを自我と無意識の間のつながりを象徴するものと見た。ネコの神秘的で予測不能な性格は、我々の無意識の部分を表している。
3. 自由と自己決定: ネコはしばしばその独立性と自由を象徴するものとして表現される。彼らは自己決定と自由意志の象徴とも言える。
メインテーマは、何か?
人は日々、空想しながら生きていて、時間が経つと、真実と、空想の区別が、つかなくなるものなのではないか?と思った。
「わたし」は、長年の引きこもり生活から、同居する父親から独立しなければならないと思ったのだろう。
そして、人は生きている間に何度も変わるということ。
真夏の夜の夢